看護師さんに病室で待つように言われていたにもかかわらず、単身でエェコさんの元に来てしまったお父さん。慌ててお父さんを病室に帰らせたエェコさんでしたが、先が思いやられる気持ちでいっぱいでした。
そしてついに転院先へ! 車椅子で乗ることができる介護タクシーを利用し、転院先へ向かっていたところ、お父さんがエェコさんに声をかけてきました。
父は同じ会話を繰り返して…
転院先は私の家の近くだったので、父の負担も考えて介護タクシーを利用しました。介護タクシーは汚しても清掃費がかからず、車椅子ごと乗ることができるというものでした。
父は自力で歩けるものの移動時は車椅子に座ってもらい、介護タクシーでも同じように車椅子に座ったまま乗車しました。
出発して少したったころ、父から「俺、なんでこんなことになっちゃったんだ?」と現状を確認する質問を投げかけられました。父が病気の影響で短期の記憶が保てないことは知っていたので、今までのことを父にもわかるように答えました。
私の話をひと通り聞いた父は「そうか〜……」と納得していたのですが……そのすぐ後にまた「俺、なんでこんなことになっちゃったんだ?」と同じ質問が。
さらにゴソゴソと財布を携帯を探して、「なぁ、俺の財布と携帯知らないか?」と私に聞いてきました。貴重品は私が預かっていると伝え、父は「わかった」と言っていたのですが、またすぐに財布と携帯を探していて……。
初めて高次脳機能障害の影響を実感した瞬間でした。会話は成立しているのに5〜10分間隔で同じことを聞かれるという……。
ただ、主治医の先生の話を聞いて心構えはしていたので、何度父に同じ質問をされても同じ答えを繰り返し伝えていました。
いよいよ転院先に向かうことになったエェコさんたちでしたが、車内ではひと波乱あったようでした。エェコさんのお父さんは高次脳機能障害だと診断され、短期の記憶がもたないと言われていました。エェコさんはある程度覚悟していたものの、「短期の記憶が持たない」ということがどういうことなのか実感させられました。話に聞いていても実際に経験するまでわからないことってありますよね。
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