介護タクシーで転院先に向かっていたエェコさんたち。病気の影響で短期の記憶が保てないお父さんは、エェコさんに何度も同じ質問をしていました。
お父さんは自分がどうして入院していたのか、携帯や財布はどこにあるのかなど心配なことがあったのだそう。何度も同じことを聞かれるエェコさんは大変でしたが、その一方で安心したこともありました。
本当は大丈夫じゃないけど
父は高次脳機能障害の影響で、短期の記憶を保つことができませんでした。そのため、ついさっき話したこともすぐに忘れてしまうのです。
父は「どうして自分がこんな場所にいるのか」「携帯と財布はどこにあるのか」「お金はどうなっているのか」の3つが不安でたまらないようでした。
聞かれるたびに脳の病気で倒れて入院したこと、貴重品を私が預かっていることなど伝えてたのですが……少したったらまた同じ質問の繰り返し。
本当はお金のことも含めて大丈夫じゃないこともたくさんありました。しかし父に「大丈夫じゃない」と正直に言ったら、きっともっと不安になってしまうだろうと思い、何も言えず……。
短期の記憶は保てない一方で、父は昔のことはよく覚えていることをようでした。
介護タクシーに搭載されていたナビが古く、運転手さんが道を間違えてしまいました。ですが、運送業者だった父は道に詳しく、間違った道を走っていることをわかっていたのです!
主治医の先生から言われた「昔のことはよく覚えてる」とはこういう感じなんだなと思いました。それでも昔のことなら完璧に覚えているわけではなく、あいまいになったり忘れたりしている部分もあるようでした。
さまざまな心配事があったエェコさんのお父さんは、何度もエェコさんに大丈夫かと尋ねていたのだそう。エェコさんはそのたびに「大丈夫」と言うしかなかった上に、今までのことを思い出してダメージを受けていたのだとか。思わず「大丈夫じゃない」と言ってしまいそうですが、親に心配をかけたくないという思いから「大丈夫」だと言ったエェコさんはすごいですよね。
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