男女の違いを理解していなかった小学生時代
大人になった今の私は、あまり背が高くなく、その印象も相まって「童顔」と言われることが多いです。しかし、小学生のころはむしろ同級生と比べて背は高いほうで、発育もいいほう。周囲の大人からは「大人っぽい」と言われていました。
発育がいいとは言っても、当時の私は男女の差をあまり理解していませんでした。男子と女子で更衣室を分けることも「なぜなんだろう」と疑問に思っていたほどです。
小学4年生のある日…
男女の違いもよくわかっていなかった私に、ある日の放課後、事件が起こりました。この日は友人何人かと校庭で遊んでいたのですが、しばらく走り回ったあと、下着が濡れたような感覚があったのです。
「え? お漏らしした?」。当時小学4年生だった私は下着が濡れた理由は1つしか思い浮かばず、非常に焦りました。「10歳にもなってお漏らしなんて、親になんて言えばいいんだろう」。そんなことをぐるぐる考えていて、遊びにまったく集中できません。そんな中、おなかが痛くなってきます。そのうち、走ることもできなくなってしまい、思わず立ち止まってしまった私。すると、私の異変に気付いた友人のNちゃんから「どうしたの?」と尋ねられました。
トイレに入ってみると…
おなかが痛いこととトイレに行きたいことを伝えると、Nちゃんはトイレまで付き添ってくれることに。Nちゃんと一緒にトイレまで行き、ひとりでトイレの個室に入って急いで下着を下ろすと、そこには驚きの光景が。なんと、血がついていたのです。私は何が起きたのかわからず「え? なんで?」と、頭が真っ白になりました。そして、どうしたらいいのかわからず、個室の中で泣き出してしまったのです。
すると、私の泣き声が聞こえたのか、Nちゃんが個室の外から「どうしたの? 何かあった? まだおなか痛い?」と声をかけてくれ、私は泣きながら「どうしよう……病気かな?」と、下着に血がついていたことをNちゃんに告白しました。
保健室に行ったものの先生は不在で…
話を聞き終えたNちゃんは「大丈夫。トイレから出てきて」と私にやさしく語りかけます。おそるおそる個室から出た私に、Nちゃんは「ナプキン持ってる?」と尋ねてきました。ただ、生理の知識がまるでなかった私は、ナプキンという言葉すらわかりません。キョトンとしていると、Nちゃんは私の手を引いて保健室まで連れて行ってくれました。
あいにく、保健室の先生は職員会議中のため不在。その後もしばらく保健室で待ち続けたものの、先生が帰ってくる気配はありません。すると、Nちゃんは「少し待ってて」と言って教室まで戻り、私のランドセルと自分のランドセルを持って帰ってきました。そして、Nちゃんは恥ずかしそうに自分のランドセルから巾着袋を出し、その中からナプキンを1枚取り出して、私にこう告げたのです。
「女の子は生理っていうのが毎月くるらしいよ。私、お母さんからこれ持たされたから1枚あげる。着け方わかる?」。わからないと答えたところ、Nちゃんは私にナプキンを差し出し、着け方をていねいに教えてくれました。
Nちゃんと私は、先生から何度も見間違えられるほど背格好が似ています。おそらくNちゃんも私と同じく発育のいいほうで、Nちゃんのお母さんは初潮がくることを心配して、すでにNちゃんにナプキンを持たせていたようです。
生理について知ることに「早すぎる」はない
私の母が私に生理について教えてくれていなかったのは、母自身が初潮がくるのが遅く、自分の娘もまだまだ先だと思っていたからだそうです。しかし、Nちゃんにナプキンの着け方を教えてもらったときに「なんで自分はこんな大切なことを知らないんだろう」と恥ずかしくなったので、私としてはもっと早くに母にはいろいろと教えてほしかったです。
大人になって改めて自分の経験を振り返ると、生理に関して早すぎる準備はないように感じます。
実際、Nちゃんはその時点でまだ生理はきていなかったのですが、生理についても知っていて、ナプキンも用意していたからこそ、私は助けてもらえたのだと思います。
もし将来、私に娘ができたら「早すぎる」といつまでも子ども扱いせず、娘の体格などに合わせてできるだけ早めに生理や女性の体の仕組みを教えたいと考えています。
著者/七日田 都摘
イラスト/マメ美
監修/助産師 松田玲子
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