やさしかった彼の本当の顔
付き合いだしたころの彼はやさしく、話しているときも楽しく、食べ物の好みや旅行という趣味が同じで「価値観も合うな」と思っていました。
しかし、一緒に過ごすうえで次第に気分屋であるということがわかりました。彼はいきなり態度が変わり、突然怒り出すことが多くあったのです。そして、疑い深いというところも……。私がよく怒られていたのは、浮気を疑われてのことでした。
私は浮気など一切したことがありません。それなのに、「今日は出かける」などと言うと「ほかの男と会うのではないか」と言われ、「違う」と否定しても「疑われるようなお前が悪い」と怒られていました。
恐怖の時間の始まり
それでも、彼のことが好きだったため私は彼と付き合い続けていました。
そして、のちにDV男だと気づく恐怖の出来事が起こるのです。それはある日のカラオケデート中でした。彼とのデートを楽しみたいということと、また何か疑われたら嫌だなという思いがあり、私は携帯をかばんにしまったままに。通知音が鳴っても放置していました。
そんなとき、私の携帯が何度か鳴っていることに気づいた彼。すると彼の顔つきが変わっていき「携帯、鳴ってるけど、なんで見ないの?」と言われました。
私はとっさに「メルマガとかだと思うし大丈夫」ということを伝えましたが、「大丈夫じゃないんだよ、俺といるときは携帯が見えるように、俺の目の前に置いて連絡がきたらすぐに確認しろ! 男かもしれないだろ、怪しいんだよお前は!」とすごい剣幕で怒られたのです。
恐怖の時間の続き
この日は怒られるだけで終わらず、なぜか「お前のその目はなんだ! 気に食わないんだよ」と言われ、何度も何度も蹴られることに……。
さらに、彼が私の顔にお札を投げつけて出て行こうとしたので、服を掴んで止めようとすると…無理やり振り解かれてしまいました。その弾みで私の爪は折れて……。激痛に耐え切れず、泣いてしまいました。
こんな状況でも彼は、私を心配する様子は一切なく「うるさい、だまれ、静かにしろ!」と怒り続けていたのです。
当時の私はこれがDVだとわかっておらず、その後、彼から突然「別れたい」と言われ別れることになってから、そのあとに「あれはDVだったのだ」と気づいたのです。
彼と離れることができた私ですが、その人に言われたことやされたことは今になっても忘れることができずにいます。時間を置いたことで以前よりは少し軽くはなりましたが、私の心にはいまだに傷として残っている元彼との出来事でした。
著者/鈴木 雪
イラスト/赤身まぐろ
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