女性ホルモンの減少すると
尿酸値が上昇してしまう
閉経すると、女性ホルモンであるエストロゲンの生成量が激減します。これまで体の中にあったホルモンがなくなることによって、腎臓にどんな影響があるのでしょうか?
「エストロゲンは、腎臓に集まった尿酸の排出を促進する役割を担っています。そのため閉経すると、尿酸がうまく排出できなくなり尿酸値が上昇しやすくなるのです。
尿酸値が上昇すると、痛風や尿管結石といった体に激痛をもたらす病気のリスクが高まります。
結石ができることで尿管や膀胱がふさがれてしまうと、尿がしっかりと排出できず、体に悪影響を及ぼすこともあります。
それから、腎臓にはカルシウムの吸収を促進する活性型ビタミンDを作る役割があります。しかし、腎機能が低下すればその役割が果たせなくなり、骨粗しょう症を招くことがあります。
骨粗しょう症の患者さんの中には、エストロゲンが減少しているだけではなく、腎機能が低下してしまっているという人もいます」(窪田先生)
ホルモン補充療法などでエストロゲンを補えば、腎機能の低下を予防できますか?
「エストロゲンを補充したからといって、腎機能が回復するというわけではありません。ですが、腎臓が悪くなりにくくはなると思います。
骨粗しょう症や動脈硬化には効果的ですが、腎臓のためにホルモン補充療法を受けるということは現実的ではありません。
閉経してエストロゲンの生成量が大幅に減少することで、骨密度の低下や心血管疾患のリスク増加、更年期障害などの健康リスクにさらされるようになります。
他の症状のために治療を受けていたら腎臓にもいいことがある、くらいの認識にしておくのがいいでしょう」(窪田先生)
慢性腎臓病ってどんな病気?
自覚症状が出たときはかなり危険な状態!
「慢性腎臓病」は、新たな国民病として近年話題になっている病気です。糖尿病や心臓病などと同じく、発症すれば生活の質を大幅に下げてしまう病気なのだとか。
「慢性腎臓病とは、さまざまな腎臓病の総称のことです。
例えば、糖尿病という病気は有名ですよね。ひと口に糖尿病といっても、妊娠糖尿病や1型糖尿病など病名はいろいろあります。
慢性腎臓病も細かく見ていけば、慢性糸球体腎炎や腎硬化症などさまざまな病名があります。そうした慢性的に腎臓の機能が低下していく病気のことを、慢性腎臓病と呼んでいます。
慢性腎臓病は腎臓の機能がかなり悪い状態にならなければ自覚症状が出てくることはありません。そのため、なかなか病気に気付きにくいということがあります」(窪田先生)
なぜ自覚症状が出るのが遅いのでしょうか?
「腎臓は体内に2つあるため、どちらか片方が悪くなってももう一方が働きを補ってくれます。働きを補えているうちは体もいつも通りですから、気付くのが遅れてしまうのです。
症状としては、だるさやむくみ、高血圧や貧血など。どれも腎臓の機能が悪くなることで血液の循環や水分量の調節がうまくいかなくなって現れるものです」(窪田先生)
腎臓病に気付くには
定期的な検査が大切
「健康診断で『血清クレアチニン検査』という項目を見たことはありますか? この検査は腎臓の機能を見る検査です。
クレアチニンというのは老廃物の1種で、これが基準値を超えていた場合は腎機能が低下している可能性があります。
もしオプション検査になっているようであれば、入れることをおすすめします。」(窪田先生)
他に受けたほうが良いという検査はありますか?
「そうですね、eGFR(推算糸球体ろ過量)という検査ですかね。これは腎臓が老廃物をどれだけ尿として排泄できているかを調べることができます。
この数値が低ければ低いほど、老廃物が体内に残っているということですので、数値が低い人は腎機能が低下しているとされています。
腎機能が悪いとエリスロポエチンという赤血球の働きを促進するホルモンの生成量が少なくなるため、貧血を起こしますので赤血球の数値なんかもチェックしておくと良いいいかもしれません。
もし健康診断などで気になった点があれば、内科を受診して詳しく検査してくださいね」(窪田先生)
まとめ
今や腎臓病は生活習慣病の一つと言っても過言ではありません。自覚症状も出にくく、なかなか気付くことができない病気ですが、かかってしまうと生活にも影響が出てしまいます。定期的な検査で自分の状態を細かくチェックすることは大切ですね。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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