ゴリさんが免許ないの知っていましたか?
無断で他人に車を貸していただけでなく、駐禁の切符が切られていて、違反金を支払うように何度も言っても「貸した奴に払わせるから」とまったく意に介していません。
あまりの非常識な言動に、二度と車を貸さないと心に決めた矢先、ゴリからサキさんの車で事故ったという電話が。事情はあとから話すのでとりあえず来てとお願いされ、サキさんが事故現場に着くとーー。
人通りの多い監視カメラもありそうな賑やかな場所で派手にぶつけたサキさんの車と無傷のゴリの姿が。事故の理由を尋ねるサキさんに、ゴリはサキさん名義の車だからサキさんが乗ってたことにしてと言い出し、さらには自分は免停だとのたまうのです。
免停の自分がサキさん名義の車で事故を起こしたら面倒なことになるし、車が修理に出せないのも困るよねと畳みかけてきて、「んじゃよろしく」と事故現場にサキさんと車を残してゴリは逃亡。仕方なく「事故を起こしてしまいました」と保険会社に電話をするサキさんは否応なく、犯罪に巻き込まれていくのです……。
保険会社との電話が終わると、ゴリが呼んでいたディーラーの鈴木さんが車を持っていきました。数日後、保険会社から「別の方が運転して事故を起こしたようで」と告げられます。
現場付近の防犯カメラからわかったことなのか、理由はわかりませんでしたが、今回は事故受付をするが、次回の更新はしないと断られました。
さらに、壊した街灯などは直してもらえるが、車両保険には入ってなかったため車の修理代は出ないと言われ、内心ショックでも受け入れるしかないサキさん。
その数日後、次はディーラーから電話がかかってきて、
「立ち入ったことを聞きますが、ゴリさんとはどういうご関係ですか?」
と踏み込んだ質問をされますが、危険察知能力が働いたサキさんが車を貸しただけと答えると、わかりましたと電話は切れました。
そのまた数日後、なんと警察から電話がかかってきて、いよいよサキさんは真実を話すしかないと腹をくくります。どういう関係かを聞かれ、以前は付き合ってたと答えると……。
「ゴリさんが免許ないの知ってましたか?」
免停と聞いていたと答えると、驚くことに3年も前から失効していたと告げられました。
1年前に出会って、その時には普通に運転していたのでわからなかったが、何かあったのかとサキさんが尋ねると、車の修理代を払わない人がいると通報があり、身分証の提示にも応じないので、調べて車の所有者が別ということが判明し、サキさんに連絡が入ったという経緯でした。
サキさんはゴリに電話をするもつながらず、メールの返信もありません。
その頃ゴリはスナックに勤めている女を騙して他に家を借りて同棲していたのです。こちらも子どもがいて夫は刑務所にいるという訳ありの女。そしてゴリは、修理代を踏み倒すべくおそろしい計画を実行しようとしていました。
◇ ◇ ◇
サキさんは意図せず、事故を起こしたゴリの替え玉となってしまいました。この替え玉になったことについて、後日警察に犯罪の片棒を担いだことを話すとお咎めはなかったそう。
作家のマチさんが調べたところ、状況によっては替え玉になると罪に問われますが、刑罰は事情によって異なるようです。
サキさんの場合、警察がどう判断したのかはわかりませんが、犯罪であることに変わりありません。くれぐれも気をつけたいものですね。