「事故で休業補償も出るしなぁ、あいつは一石二鳥や」
事故現場に残されたサキさんは、自分が事故を起こしたと保険会社に連絡するしかなく、否応なく犯罪に巻き込まれていきます。
その後、保険会社から連絡が入り、サキさん以外の人間が事故を起こしたようであると突き止められ、今回は事故受付するものの、次回の更新はないこと、車両保険に入っていないため車の修理代は出ないことなどを告げられます。
さらに数日後、ゴリが修理に出したディーラーから名義人がサキさんであることや、ゴリとの関係を聞かれるなど、かなり踏み込んだ質問にサキさんの危険察知能力が働き、車を貸しただけと、咄嗟にかわしたのですが……。
そのまた数日後に、とうとう警察からの連絡に真実を話すしかないと腹を括ったサキさん。
ゴリとの関係を問われ、1年前に知り合い最近まで付き合っていたと答えました。
すると警察から、ゴリは3年前から免許失効しており、車の修理代を払わないという通報があり、車の所有者であるサキさんに連絡が入ったという経緯を聞かされます。
その頃ゴリは音信不通になり、新たな子連れのワケあり女のもとに転がり込んで、修理代を踏み倒す計画を実行しようとしていました。
「車の修理代遅くなってすまんなぁ、来月には払うからまぁ飲んで」
人の心の隙間に入り込み、悪知恵の頭の回転が速いゴリは、酒場にてディーラーの鈴木さんと積極的に仲良くなるフリをして、彼を見定めていました。
鈴木さんが飲酒運転をすると見抜き、外に車で待機させていた従業員に、飲酒運転で帰ろうとする鈴木さんの車を追突させるという偽装事故を起こしました。ゴリはわざとらしく登場して、遅れて事故の相手が鈴木さんだと気づいたフリをして、飲酒運転を責め立てます。
鈴木さんが仕事を失うであろうこと、警察を呼ぶ必要があることをちらつかせ、ゴリの車の修理代をなんとかしてくれるならこの事故を翌朝起きたことにするという取り引きをもちかけていました。
そんな裏のことは知らないサキさんがゴリの店を訪ねたある日、そこには働く鈴木さんの姿が。事故車の運び出しでサキさんは鈴木さんと一度会っていたものの顔を覚えておらず、見かけない顔を訝しんでいるとーー。
「あいつはな、はめてやったんや」とニヤリとするゴリ。
鈴木さんがディーラーで、事故のため休業期間中にゴリの店で働くことになったと説明します。
事故で休業補償も出る鈴木さんは、一石二鳥だと冗談めかして笑い飛ばすゴリ。その裏では保険金など鈴木さんに入ってくるお金のすべてをしぼり取っていました。
時は少しさかのぼって、警察にゴリの免停を聞かれた頃、何も知らないサキさんは音信不通のゴリがどこにいるか知らないか、鈴木さんに尋ねるとーー。
「多分、店のスタッフとその子どもと一緒に住んでますよ」
◇ ◇ ◇
サキさんの車で事故を起こしたゴリは事故現場から逃亡し、関係のないサキさんに事故の処理を押し付けました。
本来はその修理代を払うべきところを、あろうことか事故車を運んだディーラー鈴木さんに近づき弱みを見つけ、偽装事故を起こして保険金をしぼり取っていたのですーー。
この時点でサキさんは自分の車の事故以外は知るよしもありませんが、ゴリのやっていることは悪質な犯罪。パートナーどころか、身近にいる人間として危険な存在です。
サキさんが一刻も早くゴリの本性に気づいて離れることを祈るばかりです。