23歳のパニ子は、トドロキ商事勤務の会社員。毎日家から持参しているお弁当が仕事の活力になっています。
このお弁当、母であるパニ母の自信作。実はパニ子の両親は「パニー亭」という弁当屋さんを営んでいるんです。このお弁当には特別な思い入れがあり……
お弁当のちから ~パニ子の想い出~
パニ子が8歳のころの話。給食の時間になると隣の席のシンタロウがどこかへ行ってしまうのです。図書室にいたシンタロウを見つけ出し理由を聞いてみると、家庭が貧しくて給食費を払えていないとのこと。仲良くしているシンタロウが困っている話を聞いたパニ子は、母に相談してお店のお弁当をシンタロウに差し入れすることに。
シンタロウは何度も何度もお礼を言いながら、本当にお弁当を美味しそうに食べてくれました。そんなことが数日続いたある日、急にシンタロウが母親とともに、遠く離れた親戚のもとに引っ越すことになったそうで、さよならも言えないまま転校してしまいました。
美味しそうに食べる彼の姿は、パニ子の胸の奥に刻まれ、ほのかな思い出として残っています。
あれから15年、母のお弁当の味は変わらぬおいしさを保ち続けています。
パニ子に仕事のミスをなすりつける先輩
ある日、パニ子が働いていると、ヤスダ先輩が「とんでもないことをしてくれたな!」とパニ子に詰め寄ってきました。聞けば、発注数を大幅に間違えているとのこと。しかし、パニ子はヤスダ先輩から依頼された注文数を発注しただけ。
ヤスダ先輩は自身のミスをパニ子になすりつけ、パニ子に全ての責任を押し付けてきたのです。反論しても、ヤスダ先輩は聞き入れてくれません。パニ子は一人で取引先に謝罪へ行くことに。
取引先に出向いたパニ子は、初めて会う若い男性の担当者に謝罪。するとその担当者は「わざわざ謝りに来てくださって、ありがとうございます。ミスは誰にでも起こりうることですし、これからは十分にお気をつけくださいね」と許してくれたのです。そして……!
予期せぬ再会と奇跡の弁当
その男性が「パニ子ちゃん、だよね…?」と言ってくるではありませんか! なんとその男性は、小学校のときにお弁当を渡していたシンタロウだったのです!
あれからシンタロウの母が会社の社長と再婚し、現在はその会社で働いているそう。パニ子のお弁当を見て、「うわぁ…懐かしい。あの時、このお弁当のおかげで、どれだけ僕は気持ちが救われたか。いつか必ず、恩返しをさせてもらうから!」と感動を隠せません。
後日、シンタロウは「パニー亭」を訪れ、パニ子の両親に15年前の感謝の言葉を伝えます。そしてお店の常連客になってくれました。
力を合わせて「パニー亭弁当」の発売へ
それから1カ月が経ったある日、取引先であるシンタロウからの通告により、ヤスダ先輩が他の社員にもミスを押し付けていたことや数々の不正が発覚し、左遷されることに。シンタロウのおかげでヤバイ先輩から離れることができました。
結局会社に居づらくなった先輩は退職に追い込まれ、酒とギャンブルで荒れ果てて失業のまま極貧生活を送っているとのこと。先輩がいなくなったことで、会社の雰囲気は格段に良くなりました。
そしてシンタロウは、お弁当を商品化する提案をパニ子の両親に持ちかけてきたのです! 売り出された「パニー亭弁当」は大好評! その後、シンタロウとのパニ子は交際が始まり、結婚へ。パニ子は、大切な「パニー亭弁当」をこれからも両親・夫婦で力を合わせて世の中に広めていきます!