バスの車内がピリピリした雰囲気に…
2人の子どもを連れて乗ったバス。車内はちらほらと席が空いている程度。子どもたちはバス後方の2人がけの席に座り、私は2人の席の隣に立っていました。少し離れたところには抱っこひもで1歳前後くらいの子どもを抱えたママが立っていて、お子さんは寝ているようでした。
しかし、バスが動き出してほどなくして、お子さんが起きて泣き出してしまったのです。ママがあやしていますが、それに反してお子さんの泣き声は大きくなっていくばかり……。
私は「何かできないかな」と考えながら何もできずにいると、どこからか「チッ」と舌打ちが聞こえました。そしてそれに呼応するように「はぁ……」と大きなため息も。
険悪な空気を変えた、子どもたちの言葉
車内にイライラが広がっていくような雰囲気にハラハラし、私は思わず「大丈夫ですか?」とママに声をかけましたが、「すみません」とうつむくだけ……。他に気の利いた言葉が思いつかずにいると、息子が「赤ちゃん、えーん、えーんね」と言ってきました。「そうだね」と返すと、息子は「かーいいねぇ(かわいいね)」とにっこり。
純粋な息子の言葉に車内の雰囲気が緩んだ気がしました。そして、今度は娘が「赤ちゃん、元気いっぱいだね! はー、癒やされるわぁ」と大人びた発言。思わず私も、そのママも、他のお客さんもクスクスと笑ってしまいました。
子どもたちの言葉のあと、乗客の誰からも舌打ちやため息は聞こえなくなりました。結局、最後までお子さんは泣いていましたが、申し訳なさそうにしていたママは少し笑顔に。子どもたちの発言が、大人たちのイライラを少し緩和してくれたかなと勝手に考えています。
著者:山口 花/30代女性・主婦。田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。
作画:こちょれーと
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています