水の中にいるような耳の閉塞感が続く
幼稚園から帰宅したばかりの私を襲った激しいめまい。20分ほどでなんとか治まりましたが、頭痛や耳が塞がったような感覚が残り、音が聞こえづらい状態でした。詳しい知識はありませんでしたが、めまいとともに突然耳の聞こえが悪くなる突発性難聴や、激しいめまいを起こすとされるメニエール病を疑いました。
耳の病気はとにかく早く受診することが肝心と聞いたことがあったため、その日の午前中に耳鼻咽喉科を受診しました。めまいの余韻が残り、耳はまるで水の中にいるよう。特定の音が聞こえないという感覚はありませんでしたが、聴力検査の結果は低音がほとんど聞こえていないとのこと。その他にバランス感覚や目の振動を調べる検査を受け、「低音障害型感音難聴」と診断されました。
この病気は耳の閉塞感が主な症状で、メニエール病のようにめまいを伴うことは少ないようですが、私には目の前がグルグルと回るような回転性の強いめまいがありました。初めてのめまい発作では、病名を確定することが難しいそうですが、私の場合は診断されました。
ただ、低音障害型感音難聴とメニエール病の治療方法は共通のようで、処方された薬はメニエール病治療に使われるものでした。初めて聞く病名に不安や疑問が渦巻いたものの、とにかくその日から私は治療に専念することになったのです。
処方された薬がまずくて飲むのがつらい!
内耳にたまったリンパ液の排出を促す少しとろみのある液体の薬。これが信じられないほど、まずい! 一瞬甘いのかと思いきや、すぐに苦みが襲ってきて、30mlを1日2回飲むのが苦痛で苦痛で…… 。飲みづらいだけでなく、最初はまったく効果が表れなかったため不安が募りました。それでも「あんなにつらいめまいは、もう二度と嫌だ」という強い気持ちで飲み続けること5日。ようやく頭の重みや耳の閉塞感に回復の兆しが表れてきたのです。
その他に処方されたのは、血流を改善する薬や神経を修復する薬。やはりメニエール病の治療薬です。そして酔い止め薬は、めまい発作のときに飲む頓服とのこと。しばらくはお守りのように携帯し、耳の閉塞感が強まってめまいを起こしそうだなと感じたら飲んでいました。
2週間ほどで耳の症状は軽快していき、頭痛やめまいも起こらなくなりました。低音の聴力は完全には回復しませんでしたが、日常生活で不便を感じていなかったので、あまり気にしないことに。しかし、めまいに対する恐怖心はどうしても拭えず、頭を動かすのが怖い状態が続いていたので、急に振り向いたりしないよう、ゆっくり行動するよう心掛けていました。
原因はストレス。そして再発の危険も?
低音障害型感音難聴やメニエール病を引き起こす大きな原因の一つに、ストレスがあると言われているそうです。再発も考えられるとのこと。医師からは、なるべくストレスをためないこと、そして運動をして三半規管を鍛えることが予防につながるとアドバイスされました。
私はエアロビクスやヨガなどの運動を始め、なるべくストレスをためずに心身を整えるよう心掛けました。ところが7年後の47歳のときに、また激しいめまい発作に襲われたのです。このときは耳の閉塞感に加えて吐き気も伴っていたので、家族に付き添われて再び耳鼻咽喉科を受診。同じ症状の再発ということで、メニエール病の可能性が高いと診断されました。
「また、あのまずい薬を飲むのか……」と憂うつになりましたが、処方された薬は液体ではなくゼリー状のもの。「もしかしておいしくなった?」 と期待しましたが、残念ながら同じように強烈にまずい味でした。
プラスチック容器に入った茶色いゼリーの見た目は、まるでカブトムシの餌のよう…… 。苦痛でたまりませんでしたが、1日3回、2週間食べ続けると耳の閉塞感は改善。その他の薬をあと3週間続け、なんとか再発から回復しました。
まとめ
初めてめまい発作を起こし、低音障害型感音難聴と診断されたのが40歳。再発してメニエール病の可能性が高いと診断されたのが7年後の47歳。53歳の現在、幸いなことに再々発の予兆はなく通院もしていません。
頭がグルグルと回転しているような強烈なめまいと、まるで水の中にいるかのような耳の閉塞感。信じられないほどまずい薬。もう二度とあんなつらい目には遭いたくありません。予防のために運動は欠かさず続けていますが、ストレスをためないというのはなかなか難しいものです。でも年齢を重ねた今、無理をしたらきっとまた倒れます。疲れたら休み、何事もほどほどに。自分をいたわりながら、再々発を断固阻止しようと思います。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト/塩り
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