40代ごろからなぜ物忘れは増える?
老化に加え、更年期の影響も
若いときと比べて記憶力や認知能力が衰えていくのは加齢変化とわかってはいるものの、40代、50代になるとひどくなった、と感じる人は多いようです。
「閉経を境にした前後10年を更年期といいますが、このころは加齢変化を強く実感しやすい時期です。
更年期に入る前までは、女性は女性ホルモンのエストロゲンにより病気や加齢変化から守られていました。しかし、卵巣の機能が低下してエストロゲンが減るにつれて、さまざまな加齢変化を感じやすくなるのです。
認知機能の低下ということで圧倒的に多く見られるのが、言語記憶(新しい言葉を覚えたり暗記したりする能力)と発語流暢性(記憶から素早く言葉を取り出す能力)の低下です。
ここで重要なのは、低下の度合いやスピードは個人差があることです。私は日々老人ホームで多くのお年寄りと接していますが、それを日々実感しています」(駒形先生)。
認知機能の低下に個人差があるのはどうして?
セロトニンなど神経伝達物質が出ているかどうか
たしかに、同じ年齢でも老化の度合いは人それぞれに見えます。その差はどこにあるのでしょうか。
「認知機能には、脳から出されるセロトニンなどの神経伝達物質が深く関わっています。この神経伝達物質は、エストロゲンにより作用が増強されることがわかっています。
つまり、更年期に入りエストロゲンが減ると神経伝達物質が作用しにくくなるのです。
しかし、セロトニンなどの神経伝達物質はエストロゲンとだけ関係があるわけでなく、他にもさまざまな影響を受けて作用しています。エストロゲンの作用以外に神経伝達物質を増やすような生活、行動をしているかが認知機能の差を生んでいるのでしょう」(駒形先生)。
どうすればセロトニンを増やせる?
効果的なのは「イライラ解消」
セロトニンなどの神経伝達物質を増やす生活……。どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。
「セロトニンは自律神経が司っています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は行動的なとき、副交感神経は休息のときや緩んでいるとき優位になります。
セロトニンは、副交感神経が優位になったときに作用します。つまり、休息の状態、リラックスした状態にすることが必要なのです。
更年期症状の代表的なものにイライラがありますが、イライラすると交感神経が優位になりアドレナリンが作用してしまい、セロトニンが作用しにくくなります。
つまり、認知機能を急速に低下させないためには、できるだけイライラを解消してゆったりと過ごすことが大切です。
クリニックに受診される方でもイライラに悩まされている人は多いのですが、何にイライラしているのかが明確になっていない場合が多いようです。
例えば夫にイライラするという場合も、夫の何にイライラするのかを突き詰めて考え、それを解消するためにはどうすれば良いのかしっかり考えてみてほしいと思います」(駒形先生)。
まとめ
私も先日、銀行口座の暗証番号がどうしても思い出せず、銀行の窓口に問い合わせをする羽目に。記憶力の低下にがく然とし、今後は大事な番号はメモが必須と思い知らされました。一方、イライラが記憶力や発語力と関係しているとはとても意外でした。イライラしていると何も良いことがないことに考えさせられました。
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取材・文/mido
ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画