夫の優一を早くに亡くし、女手一つで娘の澪を育てていた美海。
幸せに暮らしていた2人でしたが、ある日やさしかった美海が豹変して…?
豹変した母
ある日、小学校から帰ってきた澪は、家の前に見慣れない車が一台停まっていることに気づきます。
家に入ろうとすると、内側から鍵がかかっているようで……。
「ママー!おうちのカギ開けて!」
「ここはもうあなたの家じゃないから入らないでね」
「え…?」
澪は何度も母親の美海に「開けて」とせがみますが、美海は「おじいちゃんの家(美海の実家)へ行きなさい」の一点張り。
頑として譲らない美海に根負けし、澪は「絶対にこの家に帰ってこない」という約束をしてしぶしぶ祖父の家へ向かうのでした。
横暴な義父
翌日――。
美海のもとに、亡くなった夫、優一の父が現れます。
前日、美海が澪を家に入れず実家に向かわせたのは、義父が帰宅した澪を連れ去ろうと家の中で待ち構えていたためでした。
もともと息子の優一を政略結婚させ、会社を大きくしようとしていた義父。
駆け落ち同然で優一と結婚した美海に対して怒鳴り散らします。
「お前みたいな泥棒女に育てられるくらいなら、俺たちが育てた方が澪のためだ」
「さっさと澪を渡せ!」
「俺だって手荒な真似はしたくない、わかるよな?」
美海は義父の脅しに屈することなく、「何があっても澪は絶対に渡しません」「諦めてください」と告げるのでした。
娘は私が守り抜く
1週間後、再び美海の前に現れた義父。
澪の居場所を見つけた義父は、無理やりにでも澪を連れていくつもりのようでした。
すぐさま、澪に連絡をした美海。
「ママがそっちに行くまで絶対に外に出たらダメ」
「おじいちゃんたちと一緒におうちの中にいなさい」
と、約束をしたうえで、澪と他愛もない話をはじめます。
しかし、外から澪の名前を呼ぶ義父の大声が。
澪は怖がりますが、美海は外に出ないことを念押ししたうえで、一生懸命なだめるのでした。
しばらくして、美海はパトカーと共に祖父の家に到着します。
そこには義母や親戚を伴い、玄関をたたいたり、大声を張り上げたりとやりたい放題の義父の姿が……。
もちろん、義父たちは現行犯として逮捕されることに。
さらに、メッセージのやり取りが恫喝と見なされ、義父には実刑判決が下されました。
その後、美海と澪は遠くへ引っ越しし、穏やかな生活を送るのでした。
あえて冷たい態度を取り、娘を守り抜いた母親。母親の深い愛情がうかがえますね。