「共通の趣味」だったはずなのに
僕は大の観葉植物好き。そして、彼女も同じく植物が好きだというので、デートではよく園芸店にでかけていました。彼女は1人でも園芸店へ行っていて、僕が好きそうな植物を見つけると、プレゼントしてくれることもありうれしかったです。そんな彼女と付き合って1年ほど経ち、同棲を始めた際……。
彼女が僕の部屋で暮らすようになってから数日後、僕が部屋に帰ると、部屋にあった観葉植物がすべてベランダに出されていたのです。驚いた僕がどうしたのか尋ねると、彼女はすごい剣幕で「虫と一緒には暮らせない」と言い放ちました。彼女いわく、ふと植木鉢に目をやったとき、ごく小さな虫が動いているのが見え、ゾッとして植物を外に出したということでした。
植物を育てていればわかることですが、土がある以上、どうしても虫が出ることはあります。それだって決して害虫というわけではなく、植物や土にとっては益虫であることだってあるのです。「虫も植物にとって大切な存在なんだ」と力説しましたが、彼女には伝わらず「私にとってはなにも利益がない」と言われてしまいました。
彼女の言動に困惑したけれど…
これまで「植物」は彼女との共通の趣味だと思っていた僕にとって、彼女の言動はとてもショックでした。一緒に園芸店へ行った時間はなんだったんだ……と思ってしまい……。ただ、彼女は決して植物が嫌いというわけではありませんでした。
なぜなら、ベランダに出した観葉植物には毎日水やりをして、愛おしそうに眺めていたからです。さらには「あなたが大切にしているものだからなおさら愛着が湧く」と言ってくれて、素直にうれしかったのを覚えています。
園芸店でのデートは彼女にとって負担だったのではないか聞いてみると、彼女はあっさりと否定し、植物が嫌いなのではなく虫と一緒に暮らすことがとにかく嫌なのだと教えてくれました。そのあっけらかんとした態度と、植物への愛情が嘘ではない彼女を見て、僕は一瞬でも彼女に対して嫌な感情を抱いてしまったことを後悔しました。
この一件で、自分の考えを相手に押しつけようとしていたことに気がついた僕。はじめは大切なものを邪険に扱われたような気がして、彼女に困惑してしまいましたが、彼女は「虫は嫌だけれどパートナーが大切にしているものだから、いい方法を考えよう」と歩み寄ってくれていました。
今は、植物でいっぱいのベランダに出て2人でゆっくりとした時間を過ごすことが日課になっています。
著者:観葉太郎/男性・会社員
イラスト:たこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
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