夫の彰吾が不倫をしていたことが発覚し、沙織は離婚を決意しました。しかし、幼い子どもを持つ専業主婦で実家の両親も他界している沙織は、すぐに離婚できる状況ではありませんでした。彰吾は、そんな沙織を実家に放り込むことにして……。
妻と子どもは邪魔だと言い放った夫
不倫相手の加奈子と一日も早く一緒に暮らしたい彰吾は、沙織と子どもが邪魔だと言い、すぐに家を出るように促します。沙織は、せめて仕事が見つかるまでなんとか家に置いてもらえないかとお願いしますが、自分の実家で母親と暮らせばいいと一蹴されてしまいます。
彰吾の母親から素っ気ない態度をとられることが多い沙織は、自分が嫁として気に入られていないと思っていて、彰吾の実家で過ごすことに気が進みません。しかし、他に頼れる場所もなく、行くしかありませんでした……。
義母からすぐにとあるものを持ってくるように言われ…
必要最低限の荷物を持って義実家に向かった沙織。到着する前に義母に連絡をして簡単な挨拶を済ませます。
「こっちに来る前におつかい頼まれてくれる？」
電話口で義母から言われました。
「わかりました、なんでしょう」
沙織がたずねると……
「離婚届もらってきて頂戴」
と義母から言われました。
ゆくゆくは離婚するつもりですが、沙織は天涯孤独の身。仕事が見つかるまでは離婚を待ってもらいたいと彰吾にも言っていたため、ワガママとは思いつつもその経緯をあらためて義母に説明しました。
しかし、こういうことは早いに越したことはないと言う義母。たとえ離婚をしても、沙織たちを預かる約束は守ると言ってくれたので、沙織は義母の言うとおりに離婚届をもらいに役所へ向かいました。
追い出されてしまったのは……？！
義母は沙織のサインが書かれている離婚届を持っていくと、彰吾に連絡を入れました。あれだけ離婚を渋っていた沙織が、離婚に応じたことを知って驚く彰吾。
「母さんは沙織には厳しかったから嫌いなんだろうな～とは思ってたけど...」
「その日の内に追い出すなんて、相当嫌いだったんだなw」
「せっかく住む場所を見つけられたのに沙織可哀想w」
そんな軽口をたたいていると、義母が冷静に伝えます。
「私はあなたと縁を切る事にしたの」
「明日、離婚届にサインしてもらったらそこからもう他人だからね」
妻と子どもを捨てて不倫相手を取るような息子などいらないと、義母は彰吾と縁を切ることを決意。他人になるのだからと、家も返すように彰吾に言いました。
思いもよらない展開に動揺する彰吾。沙織に連絡して泣きついてきますが、今さら何を言っても無駄です。沙織は冷たく突き放します。
結局、家を取り上げられることを知って加奈子も彰吾の元から去っていき、すべてを失った彰吾。今は安い賃貸物件を借りて寂しく暮らしているようです。沙織はというと、今でも義母にお世話になりつつ、仕事と育児で忙しくも充実した毎日を送っています。血の繋がりがなくても、実の息子を捨ててまで味方になってくれた義母は、沙織にとっては自慢の母親です。
邪魔になった沙織さんを追い出したはずが、結局追い出されたのは彰吾のほうでした。血の繋がりはなくても深い愛情をもって接してくれるお義母さんの存在は、沙織にとって家族同然なのですね。家族のあり方を考えさせられますね。
