シングルマザー・シングルファザーの世帯(以下、ひとり親世帯)は、2015年の厚生労働省の調査によると、1988年と2011年の25年間で比較すると1.43倍(102.2万世帯⇒146.1万世帯)に増加しているとのことです。
そのため、ひとり親世帯をサポートする制度も拡充されていますが、制度も多岐に渡るため分かりにくい部分もあります。今回は、ひとり親世帯をサポートする、主な制度についてまとめてご紹介します。
1.児童扶養手当
児童扶養手当は、ひとり親世帯を対象に、最大月額42,330円の手当が支給されます。保護者の所得や扶養人数に応じて、支給額が変わります。また、子どもの人数が増えると加算がされます。お住まいの市区町村での申請が必要です。
参考:児童扶養手当とは?
2.児童育成手当
児童育成手当は、東京都で実施されている制度で、児童扶養手当とは別の制度です。ひとり親世帯に対して、児童1人につき月額13,500円が支給されます。保護者の所得によって支給制限があります。
また、東京都以外でも名称や金額などの条件は異なりますが、独自の手当を実施している市区町村もあります。お住まいの市区町村で確認しましょう。
3.ひとり親世帯向けの住宅費助成など
一部の市区町村で実施されている制度です。実施している多くの市区町村では、20歳未満の児童を養育しているひとり親世帯で賃貸住宅の家賃を支払っている場合に、家賃の一部が助成されます。
助成を実施していない市区町村でも、公営住宅の優先入居や家賃の減額など別の方法でサポートを受けられることがあります。
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4.そのほかの助成
それ以外にもいくつかの助成がありますが、都道府県単位、市区町村単位で実施されていますので、制度があるかお住まいの市区町村でご確認ください。
①教育訓練給付金
ひとり親世帯の親が、就職・転職・スキルアップのため、事前に指定を受けた講座を受講すると受講料の一部が助成されます。
②高等職業訓練促進給付金
ひとり親世帯の親が就職・転職などのため、1年以上学校に通学して必要な資格を取得する場合に、修学期間中の生活の安定を図るために一定期間、給付金を支給されます。
③ひとり親家庭医療費助成
子どもであれば一律受けられる乳幼児医療費助成とは別に、ひとり親世帯に医療費の自己負担分が助成されます。
5.助成以外の主なサポート制度
市区町村などからの助成金以外にも減免や割引などが受けられるものもあります。以下は主なサポート制度です。また、福祉や子ども担当部署とは異なる窓口で申請することも多いので、確認をしましょう。
①国民年金保険料・国民健康保険料(税)の免除・減免
所得に応じて、支払金額を軽減できます。
②所得税・住民税の軽減
寡婦(寡夫)控除を年末調整や確定申告で申請します。
③保育料・粗大ごみ・上下水道の減免
児童扶養手当を受給している世帯が対象になることがあります。
④JR通勤定期券の割引
児童扶養手当を受給している世帯の方は、証明書とともに通勤定期券を購入すると3割引となります。
ひとり親世帯のサポートについて、主なものをお伝えしましたが、上記ですべてではありません。市区町村によっては独自の内容や基準を設けているものあります。まずは、ホームページで確認をしてみましょう。
また、15歳の年度末まで支給される“児童手当”、精神又は身体に障害を有する20歳未満に支給される“特別児童扶養手当”、公的年金の加入者が亡くなったときに子どもや配偶者に支給される“遺族年金”など、ひとり親世帯に限定されない公的制度もいくつもあります。
いずれにしても、申請の手続きをしないと利用できないものがほとんどです。気になる点がありましたら、お住まいの市区町村の福祉や子ども担当の部署で確認・相談をしてみましょう。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。