彩(あや)は結婚し、義理の両親との同居をスタート。1日も早くいいお嫁さんとして認められたいと、毎日家事に奮闘しています。しかし、義母の千代子(ちよこ)がだんだんと本性を現し始め……。
義母が家族に見せる表の顔
義父の博(ひろし)は、いつも頑張る嫁の彩をねぎらい、やさしい声をかけてくれます。ある日は、ご褒美としてケーキを差し入れてくれました。
「たまには千代子を誘って、お茶でも一緒に飲んでやってくれ。彩さんと一緒にお茶したいって言ってたよ。彩さんがきたときは、娘ができたって喜んでたしな」
彩は耳を疑いました。なにせ義父の口からは、千代子が嫁を褒めたてる話ばかり。
「何かあったら妻に相談しなさい」
彩は思わず、お礼だけ言って、言葉を飲み込みました。実は、義母は彩には違う顔を見せていたのです。
嫁に見せる裏の顔
翌日の夕方、彩はスーパーへ出かけました。マヨネーズが切れてしまったのです。そして、もうすぐお会計というところで、千代子から連絡が。
「マヨネーズがないことにも気づかないなんて……」
「どれだけ時間かかってるんだか」
「晩ごはんに間に合わないわよ」
買い忘れをなじられ、夕飯に間に合わないからさっさと帰ってこいと命令された彩ですが、すでに支度はできていました。義母が好きだと聞いていた豚の角煮を、本を見ながら2日間かけて一生懸命作っておいたのです。
意気揚々とそのことを伝えたところ……。
「あれなら捨てたわよ」
アク抜きが不十分でまずい! あんなに味が濃くては病気になる! と罵倒され、徹底的にやり込められてしまいました。
それからというもの、彩の顔色は日に日に悪くなり、元気も出なくなりました。心配した息子に頼まれ、博は彩に理由を尋ねたのですが……。
「お義母さんとの関係がうまくいっていないんです……」
と彩。義父は、その告白をにわかには信じられません。しかし、毎日料理の作り直しをさせられ、ひどいときには捨てられてしまうという話などをいくつも聞くうちに、事実だと確信していったのでした。
ついにどんでん返し!?
その日の夕方。台所に姿を見せない彩に、千代子はいつものように……。
「今日の夕飯もまずい、作り直して」
「また捨てたんですか?!お義父さん泣いてますよ」
「は……?」
なんとその日の夕食として準備してあったのは、義父の指示で購入した惣菜だったのです! 千代子とのやり取りを彩と一緒に見ていた博は、大激怒。さらに、ご近所からの情報で、昔千代子がママ友いじめをしていたことも発覚……。博は離婚を宣言し、家を出ていくよう告げたのでした。あくまでも自分を正当化する千代子でしたが、とうとう観念し、彩へ謝罪。しかし、彩は許すどころか、こう告げたのでした。
「お義母さん、アク抜きはきちんとしないと、とおっしゃいましたよね。アクがあるとまずくなるように、お義母さんがいると家の居心地が悪くなりますから」
そういって、彩も義母に家を出るように促したのでした。
嫁の作った料理をポイポイ捨てていた義母が、今度は自分が家族から捨てられる立場になってしまったようです……。自業自得ですね。