パニ子は大きな公園や図書館がすぐ近くにある新居での生活をスタートさせたばかり。大好きな料理の仕事も順調で、これから先楽しいことしか起こらない素敵な予感がしていたのですが……。
え、バカにされてる!?
娘のパニ美と夫の健の3人で公園に遊びにきたパニ子。そこで同じマンションに住むパニ美の同級生・真美とその母親の由紀に出会います。ママ友を作るチャンス! と思ったパニ子は、由紀と話をしようとするのですが、いまいち噛み合わず……。
「旦那さん、平日の昼間から家にいるなんて暇なの?」
「パニ子さんもそんなジャージみたいな安っぽい服じゃ恥ずかしいわよ」
と、パニ子一家をバカにするようなことばかり言うのです。
健は暇なわけではなく引っ越しのための休暇中。パニ子のジャージも、子どもと遊ぶために動きやすい服を選んだだけ……。モヤっとしますが、ここでギクシャクすると今後に影響すると思い、パニ子はグッと堪えました。
「低層階にしか住めないなんてみじめね」
数日後、エレベーターを待っていたパニ子は由紀に遭遇します。挨拶をしても返事はなし……。無言でエレベーターに乗り込み、行き先ボタンを押しました。
すると「あなた、3階に住んでるのねw」と鼻で笑う由紀。「うちは30階よ。思った通り低層階民だったのね!」と高層階マウントをとってきたのです。
パニ子はスルーしましたが、高層階マウントはこれだけにとどまらず、パニ美にまで及びます。
「真美ちゃんが『パパがニートだから低層階にしか住めないんだね』って言ってきたの… …」と悲しそうなパニ美。
由紀が吹き込んだに違いありません。子どもを通じてまで嫌味を言うなんて……とパニ子は腹を立てました。
恥をかかせようとしたけれど……
ある日、真美の誕生日パーティーに呼ばれたパニ子とパニ美。できれば遠慮したいところでしたが、真美のお祝いをしたいと言うパニ美のために、2人は誕生日パーティーに出席することにしました。
由紀の家のインターホンを鳴らすと、由紀の夫・真人がドアを開け、申し訳なさそうに立っています。
「なんのご用でしょうか? うちの妻は招待してない人が勝手に来たって言っていて……」
なんと由紀は、パニ子に恥をかかせようと企み、パーティーに呼んだのです。
しかし次の瞬間、真人がパニ子を見て言いました。
「あれ、パニ子さん!? どうしてここに??」
高階層マウントをとるママ友の大きな勘違い
そこで部屋の奥から由紀が出てきて言いました。
「パニ子さんは招待してないので、帰ってくれますぅ? あ、これうちの夫です。大手出版社で編集長をしてるんですよ~つまり、あなたとは住む世界が違うってこと♡」
しかし真人は由紀を制します。「おい!失礼だぞ! 住む世界が違うのはこっちだ!」
由紀は「はぁ? 何言ってるの? この人たちは低層階の3階でうちは30階……」と納得がいかない様子。
「何言ってるんだ! パニ子さんは大人気の料理ブロガーだぞ! うちの雑誌でも頼み込んでやっと連載をしてくれているんだ! お前が今日作った料理もパニ子さんのレシピだろ」真相を真人に聞かされ、由紀は気まずそうにしています。
「低層階住まいの私のレシピなんかを高層階の人が参考にしてくれてるなんて光栄だな~~」パニ子は満面の笑みで皮肉を言ったのでした。
ちなみにパーティーではパニ子の料理は大好評! パニ美の同級生の子どもたちからもおいしいと言ってもらえ、大満足のパニ子でした。
住んでいる階だけで人に優劣をつけるのはとても愚かなこと。そんな表面上のことで人を判断するのは賢明とはいえません。人と人との付き合いは、もっと本質を見るようにしたいですね。