4歳の息子を育てる夢子は、会社員として毎日出勤しており、夫の正人はリモートワークで1日中家で仕事をしています。
そんな夢子は、家にいる夫と比べ息子の由人と一緒にいる時間が減っていることを気にしていました。
息子との距離を感じて…
毎日会社に出勤していて帰りも遅くなりがちな夢子。
夕ご飯は夫と息子だけで食べる日が続いていました。
「正人は由人とずっと一緒にいられていいなぁ。おかげで由人はすっかりパパっ子だもんね……」
数日前、由人のいたずらを強く叱ったせいか、夢子が「ママと一緒にお出かけしよう」と誘っても「ママじゃイヤ」と言われてしまったことを気にしていました。
そんな夢子に「息子との時間をないがしろにするお前が悪いよ」と、正人はフォローすらしてくれません。
挙句、休みの日に由人との時間をつくりたくても、足が悪い義母を手伝うために家を空けがちな夢子に、「母親としての努力が足りない」と言い放つのです。
たまらずに、「由人に私の悪口を吹き込んでない?最近、仲間外れされている気がするんだけど……」と訴える夢子でしたが、正人はあっけらかんとしていたのでした。
奪われた母親の立場
数日後――。
家で仕事をしていた正人からメッセージが届きます。
「保育園の迎えまだ?お前何してんの?」
「お望み通り実家に帰りました」
「は……?」
今朝、夢子は由人から「ママはいつになったらおうちに帰るの?」と聞かれたことを話し、正人が自分を家から追い出したがっているのだと確信。
さらに、「もうすぐ本当のママが来るから」と言われたことも告げます。
どうやら、夢子が不在のときに家にやってくる女性がいるようで、「”その人が本当のママ”とパパに言われた」とのこと……。
しまいには、夢子のことを「悪いママ」と由人に吹き込んでいたことまで発覚。
夢子の追及を受けた正人は、開き直ったかのように堂々と不倫していたことを認めます。
不倫相手との関係は長く、夢子が仕事中に自宅にたびたびやって来ては由人と3人で過ごしていたようで、由人との関係も良好とのこと。
正人は夢子を追い出して、不倫相手との再婚を考えていたのです。
知らないところで母親の立場を奪われていたと気づいた夢子。
大きなショックを受けるも、息子の気持ちも不倫相手に傾いていると感じて一旦は身を引くことにしたのでした。
愛するわが子を守るために
それから数日後、取り乱した様子の正人から、「由人がパニックになって、お前を呼んでいる」と連絡が入ります。
家を出た後、正人の不倫の事実を義母に話していた夢子。
すると、義母は正人の家に怒鳴り込んだようで、不倫相手ともみ合いの喧嘩に発展。
不倫相手がキレて義母を家から追い出そうとして転んでしまった義母は、怪我まで負っていたのです。
そんな修羅場を目の当たりにした由人は動揺して大泣き。
正人も不倫相手も寄せ付けないほどパニックに陥り、夢子のことを呼び続けていました。
しまいには、騒ぎを聞きつけた近所の人が警察に通報。
不倫相手を「ママのふりをしていた知らない人」という由人の証言もあって、不倫相手は警察に連行されたのでした。
その後、由人を無事に保護した夢子は、離婚を決意。
不倫相手には義母の治療費と、夫と2人から慰謝料が支払われることに。
怖い思いをさせてしまった分、これまで以上の愛情を注ぐことを誓った夢子は、由人と2人で穏やかな生活を取り戻したのでした。
その場その場で取り繕ってやり過ごせたとしても、やっぱり本物の愛情にはかなわないものですね。