父との生活に行き詰まっていた母は長女のあおいさんに離婚してもいいか相談をするのでしたが……。
「それでママが幸せになるならいいよ」
小1のあおいさんは、弟と2人の妹がいる4人兄弟の長女。あおいさんの家は、お金と女にだらしのない見栄っ張りの父のおかげで借金づけで、そんな父との生活に行き詰まっていた母は長女のあおいさんに離婚の相談をしていました。
内心は葛藤があるものの、母にいいよと答えるまだ小1のあおいさん。母にとっては良い夫ではなくてもあおいさんたち子どもにとっては良い父だったため、本心から父を憎むことはできません。
ただひとつだけ、あおいさんには父を許せなかったことがありました。それはーー。
「こんばんは。どっちがパパかわかる?」
父が自宅に招いた職場の後輩の言葉にあおいさんは戸惑いますが、父は小1だからわかるだろハハハと笑うのです。
そう、この父が連れてきた後輩との出会いが子どもだったあおいさんの生活に大きな変化をもたらしていくのです。
◇ ◇ ◇
子どもといえど、小学生にもなればいろんな分別もついてきて、父と別れたいという母の相談にも気を遣って本音を言うのを押し留めることもあります。
「どっちがパパかわかる?」
冗談やコミュニケーションのつもりかもしれませんが、初対面の子どもにそんな言葉を投げかけてくる父の後輩。子ども心にも少し変わった人だとあおいさんは認識します。自分のまわりで子どもにこんな質問をする人がいたら、あなたならどうしますか?