夫の春斗、義母の春子とともに暮らす琴菜。
出産を控えた琴菜は、気遣ってくれる義母にいつも感謝していましたが……。
やさしい義母
初めての出産で、不安を抱えていた琴菜。
しかし、義母の春子がやさしく接してくれることに安心感を覚えていました。
ある日、琴菜は散歩中に破水してしまいます。
夫の春斗はあいにく出張中。
そこで急いで義母に連絡すると、入院用の荷物や食べ物を持って駆けつけてくれました。
やさしい義母に甘えつつ、琴菜は待望の男の子を産むのでした。
孫フィーバー?
2日後――。
出張先の春斗は、琴菜とともに息子の名前を「陽向」に決めました。
しかし、琴菜によると、義母は「春一郎」と勝手に名付け、役所に提出しようとまでしていたのです。
慌てて止めた琴菜に対し、そっけない態度を取った義母。
春斗は違和感を覚えますが、孫フィーバーだろうとその場を収めるのでした。
攫われた息子
退院日――。
出張先から家へ向かっていた春斗に、琴菜から「どうしよう…」と連絡が入ります。
「お義母さんが家に入れてくれないの!赤ちゃんだけ連れて行っちゃった…」
「お前は実家に帰れ」
「は…?」
実は、義母がやさしく接していたのは琴菜ではなく、琴菜のおなかにいた陽向でした。
「跡取りを生んだからもう必要ない」と言われた琴菜は、荷物とともに放り出されていたのです。
そんな琴菜の体と心を気遣い、実家に戻るように説得した春斗。
「絶対に陽向を琴菜のもとに連れて行く」と約束し、帰路を急ぎます。
琴菜も春斗もついに堪忍袋の緒が切れてー!?
翌日――。
春斗のおかげで、陽向と再会できた琴菜でしたが、義母から「春一郎を奪ったわね!?」との連絡が。
続けて琴菜を罵る義母でしたが、ついには陽向のことも「次の嫁が男を産めなかったときのための予備」とまで言い切る始末。
これには琴菜も春斗もついに堪忍袋の緒が切れます。
「犯罪者が家にいるとのびのび子育てもできませんから」と琴菜は言い放ち、春斗も義母と絶縁を決めるのでした。
後日、義母は警察より厳重注意を受け、次に同じようなことをしたら即逮捕と釘を刺されます。
引っ越し直前に琴菜が事の顛末を近所に広めていたため、肩身の狭い思いをしている様子。
一方、琴菜はやさしかった義母が実は自分を嫌っていたことに落ち込んでいました。
しかし、自業自得だと思い直し、二度と陽向を会わせるつもりはありません。
今は本当の家族3人で、新天地で仲良く暮らしています。
子どもを生んだ経験があるにもかかわらず、実の母親である琴菜から陽向を奪おうとした義母。相応の報いを受けたようです。