美春(みはる)は夫と離婚し、気持ちを切り替えるため、仕事に打ち込む日々を過ごしていました。しかし、あまりにも打ち込みすぎるので、上司の三原(みはら)はそんな彼女を心配しています。元夫である純一(じゅんいち)はものすごい束縛男で、離婚後まで美春を追い詰めていて……。
離婚してまで続く苦難
美春の元夫・純一は、離婚届にサインはしたものの、いまだ美春のことを諦められず、しつこく連絡してきては新しい住所を探ってきます。純一の束縛はかなりのもので、結婚していたときは体調を崩すほどだった美春。30分に1度メッセージが届き、それにすぐ返信しないと鬼のように電話が鳴り……。家の中にカメラを設置し、純一は仕事中も美春を監視していたため、ありとあらゆるドアを開けっぱなしにさせていました。
家に女性がひとりでいることは危険だからという純一ですが、美春にとって家は刑務所のようで、すこしも気が休まることはありませんでした。やっとのことで離婚したものの、離婚後も彼の束縛は続き……。なんと、家を突き止めるためか、会社から尾行されたことも。純一は、美春はまだ自分に気があると勘違いしており、「今帰ってくるなら許してやる」という発言をする始末……。
安心して暮らすために…
美春の上司である三原は、彼女があまりにも仕事に打ち込みすぎるため、とても心配していました。元夫に付きまとわれていて家に帰るのが恐ろしいという美春に、三原は「わかるよ」と一言。なんと三原にも、元交際相手に付きまとわれていた過去があったのです。
部下の身の安全を第一に考える三原は在宅勤務を勧め、また防犯グッズの設置や異動の相談にものってくれました。出世欲の旺盛な美春は異動に対して消極的でしたが、逆にステップアップの機会ととらえるよう三原にアドバイスされ、前向きに考えるように。
間抜けな侵入者、その結末
その日、美春はリモート会議をしていました。会議をよそに、三原から1通のメッセージが。
「多分、今元旦那さんが玄関の向こう側にいると思う」
「え?」
恐怖を感じた美春は、上司の指示通り、静かにベランダに移動。貴重品だけをもって、家から脱出したのでした。
30分後、美春の携帯に純一からメッセージが。
「おい!なんで家にいないんだよ!? 」
「あなたのおかげで逃げるのが間に合ったわw 」
「は? 」
なぜ、上司が元夫の行動を知れたのか……。それは、純一が美春に習慣づけさせた開けっぱなしのドア。リモート会議前に美春はうっかりドアを閉め忘れていたため、彼女の後ろには玄関まで続く廊下が映り込んでいたのです。
そのため、会議中の三原は、ドアポストから手を入れたり、のぞき込んだりしていた純一の様子を確認できたのです。逃げろという三原のメッセージがうまく美春に伝わり、彼女は逃げ……、しかしそれを知らずに、純一は美春がいると思い込み、部屋に侵入。びっくりして彼女に連絡をしてくるという……なんとも間抜けな男です。
しかも、その様子はずっとリモート会議の画面で中継されており、会議の出席者全員が純一の住居侵入を目撃することに。美春は脱出後、すぐに110番通報。家は警官に包囲されていました。
逮捕後、純一のカバンの中には婚姻届と刃物が入っていたことがわかりました。ゾッとする元夫の行動ですが、法的に裁かれたとのことで、美春は一安心。さらに彼女には海外転勤の話が舞い込み、物理的にも離れられるという安心感が加わり、今は心機一転して新しい人生を楽しもうとしているそうです。
上司との連携で難を逃れられてよかったです。人間関係をうまく結ぶことは、とても大切なことですね。