カナデは、とあるレストランで夫マサハルの母親と和やかにランチを楽しんでいました。そこでカナデは義母に、もうじき引っ越す新居に遊びに来てほしいと伝え、豪華な食事で夫をサプライズで驚かせたいので協力してほしいとお願いします。
息子のパートナーが自分を頼ってくれることに喜んだ義母は、目を輝かせながら快諾しました。しかし、その時のカナデの表情は、喜ぶ義母とは対照的に、どこかほくそ笑んでいるように見えました。
時はさかのぼって――。
夫との出会いはバーベキュー







数年前にカナデとマサハルは友人主催のバーベキューで出会い、交際を経て結婚しました。マサハルはカナデより5歳年上です。
後日、夫の友人から何気なく聞かされた話がカナデの心に引っかかっていました。
「マサハルは年下の女の子にすぐ惚れちゃうんだよね」
その言葉はショックでしたが、カナデは自分に言い聞かせてきました。結婚相手に選んでくれたのだから、「若さ」だけで一緒になったわけではないはずだ、と。
とはいえ、年を重ねるごとに不安は増していきます。そんな焦りから、カナデは「若々しくきれいでいる」ための日々の努力を欠かしませんでした。
ある日、カナデは新調したワンピースを着て、マサハルに見せました。しかし夫はチラッと見ただけで、すぐにスマホに目を移してしまいます。そして、スマホの画面を見ながら何やらニヤニヤと笑っています――。
夫婦の時間よりもスマホを優先し、自分の方を見ようともしない夫の態度に、カナデは不安を募らせていくのでした。
◇ ◇ ◇
「年下の女の子に惚れやすい」という言葉への不安から、必死に自分を磨くカナデさん。その健気な姿には、同じようにパートナーのために見えない努力を重ねている方も、共感する部分が多いのではないでしょうか。
それだけに、せっかくのワンピースよりもスマホの画面を選ばれてしまう瞬間は胸が痛みます。一緒にいるのに、相手がスマホばかり見ていて心ここにあらず……そんな光景、身に覚えがあるという方も少なくないはずです。自分よりも画面を優先される寂しさは、想像以上に深く心に残るものですよね。
ですが、夫婦だからこそ本当に大切なのは、若さや外見以上に、目の前にいる今の相手に関心を向け合うことなのだと気づかされます。小さな変化に気づいて言葉にしたり、目が合った時に微笑んだり。そんなささやかなやり取りこそが、パートナーの不安を安心に変え、二人の絆をもう一度温め直すきっかけになるのかもしれませんね。
加藤 かと