真里菜(まりな)は3カ月前、娘のミカを出産。慣れない育児と家事に、ひとり翻弄する日々を送っています。夫の将司(しょうじ)は育児も家事も非協力的で、何から何まで命令して真里菜にやらせ、さらに完璧を求めるというひどいありさま。ミカの夜泣きで夜もぐっすり眠れない真里菜は、心身ともにだんだん追い詰められ……。
理解も思いやりもない夫
会社の昼休み、将司は暇なのか、真里菜にお小言を送ってきました。「俺のシーツを替えておけ」 から始まり、「最近だらしがない、専業主婦なのに育児と家事の両立ができなきゃ困る、料理も手抜きだ」と、文句たらたら。真里菜の頑張りを褒めるどころか、ひとりでもちゃんとやっている人はいると尻を叩きます。彼女がいろいろと対策している夜泣きに関しても、昼間に散歩させないからじゃないか、なんて何も考えずに言う始末。どれもこれも、将司が少し手伝ってくれたら解消される問題ばかりなのに……。
平日はおろか、休日も遊びに出かけてしまう将司は、真里菜の家事を手伝ったことも、育児に協力的だったこともありません。稼いでやってる、仕事に支障が出る、疲れていると大いばりですが、真里菜も育児や家事など日々やる事に追われています。もちろん、疲れているなんて言わなくてもわかるくらいに疲弊しており……。将司は家族の何を見ているのでしょうか。
家族のピンチに、夫は……
「お願い、帰ってきて!」将司に帰宅を懇願する連絡がきたのは、それから数週間たったある土曜日のこと。なんと真里菜とミカが同時に高熱を出し、どうにもならない状況になっていたのでした。休日で遊びに出かていた将司ですが、風邪がうつると言って帰宅することを拒否。「病院なんて行かなくても治るから、おとなしく寝ていろ」真里菜がゆっくり寝ていられるように外出しているんだから感謝しろ、と驚きの発言まで。
「普通、こういうときは看病してくれるんじゃないの?」 何を言っても態度が変わらない将司に、真里菜はもう頼るのを諦めました。「もう将司には頼らない、看病もしてくれない人なんて家族だと思えない」 将司は内心、俺を頼らずには生きていけないくせに……などと思ったようですが、真里菜はこのときすでに心を決めていたのです。「あなたも私をもう頼らないでね」
おまえ誰?トンデモ夫の転落が始まる
「おまえどこ行った? 」
「風邪で家事をサボるくせに遊びには行けるのか? 」
「あなたの奥さんと子どもは亡くなったよ……」
数日後に将司が帰宅すると、家には誰もおらず。やっと連絡がついたと思ったら、相手は真里菜ではない!?「おまえ誰?」
なんとメッセージを打ち返していたのは、将司の母親でした。あの後、真里菜は義母に助けを求めてミカとともに緊急入院。一歩間違えば命を落としてもおかしくない状況だったと、医師は伝えたようです。亡くなったと脅しで言った義母ですが、あながちウソでもないような状況だったのです。
人として信じられない対応をした息子に対して怒り心頭の義母は、将司がいくら尋ねても、真里菜とミカの居場所を明かすことはありませんでした。将司からの謝罪も反省も受け入れられない真里菜でしたが、父親としての責任だけは果たそうという様子がわずかに見られたため、娘との親子の縁だけは切らずにおこうと決めました。しかし離婚は決定事項。「ひとりで育てるのは大変だろう」 と言う将司に、「ひとりでもちゃんとやっている人はいるって言っていたよね」 とチクリ。真里菜には義母という強い味方もいますから、きっとうまくいくことでしょう。
夫婦円満に暮らすためには、思いやりと優しさが大切。言葉はときに暴力となるので、自分が言われたらどう感じるかを考えつつ、会話やメールをすることが大事ですよね。離婚となった将司ですが、娘とは良い関係を築けるといいですね。