彩乃(あやの)の娘の愛(あい)は、小学6年生。反抗期が始まったようで、自分の気に食わないことがあると最近はすぐに家出をします。ごはん前のお菓子を注意されたり、部屋の片付けをするよう言われたりするくらいで家を出るので、彩乃はとても困っています。今はまだおばあちゃんちに避難するくらいで済んでいますが、事故や事件に巻き込まれる恐れもあるので、とても心配なのです。しかし夫の優斗(ゆうと)に相談しても、笑って真剣にとらえてくれません。
娘から謎のメッセージ「物置見て!」
ある日、家出した愛から謎のメッセージが届きました。
「ママとパパのうそつき、物置見て! 」
メッセージを受け取った彩乃は、きょとんとするばかり。愛は、彩乃と優斗が自分をのけものにして遊園地に遊びに行ったと勘違いしているようです。遊びに出かけたと勘違いされた日は、優斗は休日出勤、彩乃は家で片付けをしていました。不思議に思いながら、庭の物置の中を確認してみると……、なんと遊園地のお土産が入った袋が出てきたのです。中身は、お菓子やぬいぐるみなどでした。
この物置にはいろいろたくさん詰め込んでおり、また女性が片付けるには大変なものもあるため、片付けは優斗の担当になっていました。「そういえば……」と、この前彩乃が気を利かせて片付けようとしたら、優斗が物置には触らないようにと、やけに強調していたことを彩乃は思い出しました。
物置は、夫の秘密基地になっていた…
「遊園地行きたくて家出したのかw 次の休みに連れてってやるよw」
「一生連れて行かなくていい」
「え……? 」
妻から娘が家出をしたと連絡を受け、優斗が愛にメッセージを送ると、つれない返事が届き……。じつは、返事をしたのは妻の彩乃でした。愛の家出の原因を説明する彩乃に、必死にお土産はもらいものだと言い訳をする優斗ですが、一緒に入っていたレシートで事実が露呈。
なんと優斗は、休日出勤と嘘をつき、取引先の不倫相手と遊びに出かけていたのでした。さらに彩乃が問い詰めると、優斗は嘘をついては見破られるの繰り返し。埒があかないと思った彩乃は物置を隅々まで捜索し、たくさんの証拠品を見つけたのでした。そう、物置は優斗の秘密基地と化していたのです。彩乃が夜の生活グッズを見つけたときは、さすがに愛に見られないようとっさに隠しました。と、同時に怒りは頂点に……!
家族をだました、嘘つき男の結末
慌てて帰宅した優斗でしたが、家には鍵がかけられ、窓も閉まっており、なかの様子はうかがい知れません。妻に着信拒否されたので仕方なく娘に連絡をとると、「大嫌い」、「キモイ」と拒絶されました。6年生の愛は、父親が何をしたのかおおよそ想像がついたのです。
やっと連絡がとれた彩乃からは、離婚を言い渡されました。家族の住む家は、彩乃の祖母の残した家なので、優斗は出ていかなければなりません。行くあてのない優斗が泣きつくと、彩乃は言い放ちました。
「物置に寝ればいいんじゃない? あなたにはお似合いよ。見たくないものや邪魔なものは物置に入れておくのがピッタリよね」
離婚後は優斗と不倫相手は慰謝料を払うことに……。それから、母を理解し、パパがいなくてもいいと、離婚の後押しをしたのは娘の愛でした。父親である優斗は、何があっても嘘をつくのはいけないのだと、娘に説教されるのでした。
子どもでも、大人でも、嘘をつくことはいけませんね。嘘という不幸の種をまけば不幸の花が咲き、幸せの花は決して咲かないのですから。物置きの建つ庭が、これからは幸せの花でいっぱいになるといいですね。