「もう来ないで。ナオミと付き合ってるんでしょ」
その言葉に父は驚きますが、母は自分の親友と父が付き合っていることを以前から知っていました。
自身とピンちゃんが付き合っていることも告げ、今後はあおいさん以外の兄弟には会わないように宣告していました。
父がいた私たちの大切な過去をなかったことにしないで!
運動会会場で父を探すあおいさんでしたが、その姿が見つからず母に行方を尋ねると、
「帰ったよ。パパが来てたこと、ほかの子たちには言わないでね」
その言葉で詳しいことまではわからなくても、子どもが踏み込めない「大人の事情」があることを理解するあおいさん。母と父が別の道を歩んでいることを、頭ではわかっていても心が追いつきません。
そこへ運動会を終えた次女が戻ってきて、家族全員で今日の活躍を褒めるのですが、
「あかりがまだ赤ちゃんだった頃を思い出して…泣いちゃったよ!」
出会ったのはつい最近のことなのに、感極まりながら事実とは異なる昔話をするピンちゃんに母も子どもも戸惑います。
まだ幼い子どもだから細かい昔のことなんてわからないと思っての発言なのか真意は分かりませんが、あおいさんにとって過去は父との大切な思い出ばかり。それを踏みにじって自分との思い出に塗りかえようとするピンちゃんにあおいさんは憎しみを覚えるのでしたーー。
◇ ◇ ◇
長女あおいさんは小学1年生。幼いといっても、ここ最近知り合ったピンちゃんが自分たち兄弟の赤ちゃんの頃を知っていることには違和感を覚えました。
父と母が別の道を選んだことは受け入れたくなくても従うしかなく、その状況自体に小さな心を痛めているというのに、父がいた大切な過去を簡単になかったことにすることは、子どもの心を傷つけてしまうことにピンちゃんには気づいてほしいものです。