麻衣子は最近、生活のスタイルを変えようか悩んでいます。正社員として働く今の生活だと、夫である健太郎との時間がなかなかとれないのです。将来的には子どもを持つことも考えているため、今が在宅への切り替えどきなのではないかと思っています。しかし、それを健太郎に相談したところ、しばらく待ってほしいと言われ……。
え?仕送りが20万以上!?
近頃の健太郎は仕事が忙しいらしく、残業や土日出勤が増えました。麻衣子は夫の体がとても心配で、また2人の時間が取れないことには寂しさを覚えています。そこで、この際自分が在宅に切り替えて、夫と過ごす時間や家事をする時間を確保し、将来的な子どもとの生活に備えようと思ったのですが……。健太郎は、少し待ってほしいと言うのです。
理由は、義母への仕送り。健太郎の母親は旅館を営んでいるのですが、最近うまくいっておらず仕送りがしたいとのことでした。麻衣子も力になりたいと思って仕送りを承諾したのですが、金額を聞いてびっくり。2人の月給の半分にもなる、20万円以上だというのですから麻衣子が驚くのも無理はありません。しかし、数カ月の辛抱という健太郎の言葉を信じ、頑張って仕送りを始めました。
疑惑は確信に変わり…
それから数カ月後のことです。麻衣子は、クレジットカードの明細に目を見張りました。そこには、夫のお小遣いを上回る金額が記載されていたのです。「健太郎、ちょっと使い過ぎなんじゃないの?」 彼は独身時代の貯金から支払うから問題ないと言いますが、まだ仕送りも続けている状況です。何かあったときのために貯金はできるだけ使わない方いいという麻衣子に、今がそのときだと夫は言います 。麻衣子が一度お義母さんと話し合おうと提案すると、もう少し様子を見てほしいとお願いされました。「今義母は一生懸命頑張っている」と言われて何も言えなくなった麻衣子でしたが……。
それから、また数カ月後のある日。
「母さんに仕送り入れた? 入ってないって連絡きたんだけど」
健太郎が麻衣子に尋ねました。麻衣子はすかさず答えました。
「でしょうね、入れていないもん」
「は? なんで入れてないの?」と驚く健太郎に、離婚したいから仕送りもやめたと告げました。
「仕送りが嫌で離婚か? 慰謝料なんか俺は払わないからな」
「お義母さんから貰ったから大丈夫」
「は……? 」
そこで麻衣子から明かされた事実、それは数カ月前すでに義母と彼女が話をしていたということ。そしてそのとき、義母の仕事はうまくいっており、仕送りも受け取っていないということが判明したということでした。
「もうとぼけなくてもいいよ。すべて調べてあるから」
麻衣子が探偵を使って調べたところ、健太郎はあの仕送りで飲み屋の女性に貢いでいたことが発覚。さらに、共有口座の貯金にまで手を付けていたこともわかりました。残業もウソ、休日出勤もウソ。出張と偽って不倫旅行までしていたのですから、やましい関係そのものです。妙な言い訳を並べる健太郎に、離婚届を突きつける麻衣子。健太郎は離婚を拒否し、麻衣子に謝罪をしてすがってきましたが、もう彼女に未練はありませんでした。
仕送りを終えた後に残ったもの
麻衣子に心残りがあるとすれば、それは義母のことでしょうか。息子に怒り、涙ながらに何度も謝罪をし、麻衣子に高額な慰謝料を立替で前払いしてくれました。実は義母も同じような理由でシングルマザーになり、頑張ってきた過去があったのです。最終的には、離婚に応じない健太郎に義母が喝を入れてくれ、なんとか離婚。今でも彼女は麻衣子の心の支えとなっており、たまに会っては2人で楽しい時間を過ごしているということです。
一方、高額慰謝料の返済のため、自由に使えるお金がなくなった健太郎ですが……。もちろんそんな人からは飲み屋の女性も離れていき、今はただがむしゃらに働いて稼ぐだけの毎日だそう。苦しくても、それだけのことをしたのですから仕方ありませんね。パートナーが頑張って稼いだお金を、自分の欲望のためだけに使っていた。しかも、たくさんウソをついてまで……。そんな裏切り行為は、絶対に許せることではありません。
麻衣子は今回のことでとても傷ついたに違いありませんが、彼女には義母のように心から支えてくれる人がいます。これからもそういう人が現れるに違いありませんから、未来に向かって強く生きていってほしいですね。