新婚時代は幸せだったけれど
15年前に結婚した妻のイツミと、中学生になる娘のウズヒと3人で暮らしているサトシ。元々サトシに結婚願望はなかったものの、余命宣告を受けた母親から「生きているうちに、サトシの結婚式に参列したかった」と言われて49歳のときに婚活を始めました。
婚活パーティーで出会ったイツミと結婚し、母親の結婚式に参列したいという夢をかなえてあげることができました。その後、子宝にも恵まれたのですが……入籍後、イツミの態度が少しずつ悪くなっていったのです。
スーパーマーケットの店員の態度が悪かった、道で人が横一列になって歩いていて邪魔だったなど小さなことでイライラし、そのたびにサトシに物を投げつけたり罵声を浴びせたりするように。そんなイツミと別れたいと思ったサトシでしたが、ウズヒがいたため簡単に離婚を選ぶことができずにいました。
「こんな人の子どもとして…」
その後、サトシの会社の業績が悪化し給料が減ると、イツミはますますサトシに対してキツく当たるようになりました。
サトシの給料は18万円になってしまい、サトシは妻や子どもにぜいたくをさせてあげられないことを情けなく思っていました。そのため、サトシは副業を始めることに。
副業のことを知らないイツミは「私があんたと結婚してやったのは、給料が良いからなのよ!?」「明日、ローン会社で金借りてこい!」など、毎日サトシにひどい言葉を放っていました。さらに中学生になったウズヒは反抗期が始まり、何かとサトシのことを避けるようになっていました。
サトシが副業で得たお金は将来のために貯金していたため、決して暮らしは豊かではありませんでした。しかもイツミは家事もしなくなっていたので、仕事を終えたサトシがごはんを作っていたのですが、ウズヒは父親がごはんを作ることも不満に思っていた様子。
「もう、これからごはんは自分で買って食べるからお金だけくれない!? 5万円!!」と言いだすだけではなく「私、こんな人の子どもとして生まれたくなかったんだけど」とサトシの心をえぐるような発言をしたのでした。
ウズヒからの言葉が決定打となり、サトシはイツミとの離婚を考え始めました。
妻も離婚を考えていたようで
離婚後の生活の準備を整え、翌月に定年退職を控えたある日、サトシは離婚届を手に帰宅しました。イツミに離婚を切り出そうとすると……なんとイツミのほうから「あなた、離婚してww」と離婚届を突きつけられたのです!
驚きつつも、お互いに離婚したいと思っているならば話が早いと思ったサトシ。しかしそう簡単に事が運ぶはずなどなく……。
なんとイツミは安月給で苦労をかけたのだから、慰謝料としていつも給与が振り込まれる口座に入る退職金を全額渡すように言い、ウズヒの養育費も払うようサトシに命じました。
これまでイツミからのモラハラに耐えていたサトシですが、さすがに我慢の限界が! イツミたちに復讐することを決心したのでした。
退職金をどこにやったのよ!?
離婚した後、サトシは副業をしていた会社に入社し、翻訳の仕事をしていました。社宅に住み、快適な生活を満喫していると、イツミから1本の電話がかかってきました。
サトシが電話に出るなり「もしもし!? どうなってるの!?」と怒鳴るイツミ。どうやらいつまでたっても退職金が振り込まれないため、サトシに連絡してきたようでした。
振り込まれないなんておかしい! と騒ぐイツミに対し、おかしくはないと言ったサトシ。実はサトシは退職金は別の口座に振り込んでもらうように申請しており、イツミが欲しがったいつも給与が振り込まれていた口座にはお金が入らないよう細工していたのです。
さらにサトシはイツミの両親に、これまでイツミとウズヒが自分に対してどんな態度で接してきたのかを伝えていました。イツミの両親は「自分たちがあんな娘を育ててしまった」とサトシにわび、ウズヒに支払っていた養育費を返金してくれました。
イツミは退職金や養育費が入ると思っていたので、借金を作ってまでいろいろな物を購入してぜいたくをしていました。借金を返すあてがなくなり、焦ったイツミは弁護士を立ててお金を請求すると言いましたが、これまでサトシが受けたモラハラの被害を考えれば、取り立てられるお金などささいな金額でした。
俺が何もしないと思った?
イツミは自分たちがこんなにも苦しんでいるのにサトシが平和に暮らしていることが許せない様子でした。しかしサトシからすれば、今のイツミたちの状況は自業自得でしかありません。
何年間もサトシにひどい態度を取っていたのに、困ったら助けてくれなんていう虫のいい話をサトシが受け入れられるはずなどなく、サトシは「た、助けてぇ……!」と泣くイツミを放って電話を切りました。
その後、お金がなくなってしまったイツミとウズヒは風呂トイレ共同の安アパートにて暮らし始めたのだそう。しかし借金を返済しきれず、ウズヒはイツミの両親に預けられることになりました。
イツミは借金元から紹介された工場で寝ずに働いているのだとか……。仕事ができず、毎日怒鳴られる生活を送ることに。
一方のサトシはなんと再婚相手が見つかり、結婚することに! 幸せな家庭を夢見て、人生の再スタートを切ったのでした。
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夫婦間でお互いに対して不満を抱えている人は少なくはありません。しかし、イツミのように不満があるからといって相手を見下して攻撃してしまってはいけません。お互いに良い落とし所を見つけられるようにしたいですよね。
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