新進気鋭のわが社!
パニ子はソフトウェア関連のベンチャー企業で働いています。社長のカズオと開発担当のナオヤ、営業担当のタカシの3人で設立されたこの会社は、業界でも話題になるほど成長が早く、評価が高い会社でした。
ナオヤの開発するソフトウェアはとても品質が良く、タカシをはじめとする営業チームも営業力が高く、会社はどんどんと売り上げを伸ばしていっていました。パニ子はそんな2人のことを尊敬していましたが、社長であるカズヤのことはどうにも尊敬できず……。
というのも、カズヤは朝は11時過ぎに出社をしてミーティングをすっぽかしたり、決済待ちの書類をためて契約の進行を滞らせてしまうことがあったのです。
ナオヤとタカシはカズヤに何度も苦言を言いましたが「いいじゃねーかよぉ。だって俺は社長だぜ?」と聞く耳を持たない様子のカズヤ。
カズヤがいなくても仕事は回るため、ある程度は問題ないものの……社内でもネットサーフィンやゲームをするばかりでほとんど仕事をしていないカズヤに対し、パニ子はどうしてこの人が社長になったのか不思議で仕方がないようでした。
会社の経費でブランド品!?
実は大学の同級生だったカズオたち。会社の立ち上げ時、技術力のあるナオヤとコミュニケーション力が高いタカシに乗っかる形でカズオは社長に就任したのです。
パニ子は社長がお飾りであっても会社がうまく機能するのであればそれで構いませんでした。自分は与えられた仕事を懸命にこなすだけ! と頑張って働いていたものの、最近はその仕事を邪魔してくる人物がひとり。
それはカズオの母親であるフサエでした。ある日、フサエは両手に大量の買い物袋を持って会社にやって来たのです! しかも「会社のカードがあればお財布を気にしなくても買い物できるんだもの~wあー気分がいい!」と、会社の経費で買い物を楽しんだようでした。
フサエが購入してきたのは会社で使うものだとは到底思えない高級ブランドの商品ばかり。しかし、平社員であるパニ子が「それは会社で使うものですか?」などと聞けるはずもなく……。
さらには買い物し過ぎたから車で荷物を運んで欲しいというではありませんか! パニ子が仕事中だからと断ると「社長の母親に頼まれたことよりも優先される仕事なんてあるはずないわよw」と言い、パニ子に荷物を運ばせたのでした。
これって公私混同じゃない?
フサエが会社にやってくるようになったのは、ほんの数カ月前のことでした。それまではまったく接点がなかったのですが、会社の忘年会に呼ばれて社員からもてはやされたことをきっかけに、会社に居着くようになってしまったのでした。
息子が社長だからと自分まで偉くなったつもりのフサエは、たびたびパニ子たち社員に無茶な要求をしていました。ナオヤかタカシがいるときはフサエをたしなめてくれていましたが、2人がいないときは社員たちはフサエの要求を断れずにいました。
フサエが業務内容にまで口出しするようになっていたある日、なんとカズオは「俺の母親を取締役に参加させることにした! だから今後は、俺の母親を取締役として扱うこと!」と言いだしたのです!
これまで取締役はナオヤとタカシの2人で、カズオが代表取締役をおこなっていました。社のことを1つもわかっていないフサエが参入することに対し、パニ子だけではなく社員はみんな理解ができずにいました。
フサエの役員報酬は月50万円とかなり高額なもので、これにはナオヤもタカシも怒り爆発! しかしカズオは「俺はこの会社のすべてを決める代表取締役なんだ! いくら取締役だからって、お前たちには指図できないんだよ!」と話し合う気はまったくありませんでした。
「これからビシビシこき使うわよ!」
カズオの決定に納得できないナオヤたちは、取締役を増減させるならば株主総会を開くべきだと進言。カズオは面倒そうでしたが、今後上場企業を目指すのであれば……とナオヤたちの説得に折れたようでした。
翌月、臨時で株主総会を開くことになりました。カズオから社員全員の出席を命じられたため、パニ子たちも出席することに。
早速フサエを取締役に就任させることについて反対意見を募りましたが、誰も手を挙げることがなくフサエが取締役になることが決定。するとフサエは司会からマイクを奪い取り「明日からは私の命令にはすべて従ってもらいますからね!」と従業員を召使い扱いすると宣言したのです!
その瞬間……全社員が大爆笑! 予想外の反応にフサエは困惑。
さらにパニ子は「それは無理です」とひと言。「もう今日でこの会社の従業員じゃなくなるんですものw」とパニ子たち社員全員が今日付けで退社することをフサエとカズオに伝えました。
実はフサエが取締役になると聞き、カズオに着いて行けなくなった社員たちは退職届を提出していました。取締役であるナオヤとタカシがそれを受理し、社員たちは退職に必要な手続きもすべて終わらせていたのでした。
全社員を失った社長の行く末
ナオヤとタカシも新しく会社を立ち上げることにしたと言い、この会社は退職すると伝えました。ソフトウェアの開発をしていたナオヤと営業のすべてを担っていたタカシが退職するとなれば、カズオも黙ってはいません。
しかし、ろくに仕事もしない社長に付き従う社員など誰ひとりとしているはずもなく……カズオの元には母親であるフサエしか残りませんでした。
「私の50万円のお小遣いはどうなるの!?」「もう海外旅行の申し込みしちゃったのよ? 新作バッグの予約も!」と騒ぐフサエを横目に、パニ子たちはその場を後にしました。
その後、社員がいなくなってしまったカズオの会社は復帰もできず早々に廃業の危機に追い込まれてしまったのだとか。
一方、パニ子はナオヤとタカシが新しく立ち上げた会社に就職し、再スタートを切ることに! 無能な社長を威張り散らす社長の母親がいない環境で、伸び伸びと仕事をしているようです。
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元々仕事をしていなかった上にわがままな母親を取締役にした結果、社員だけではなく友人も失ってしまったカズオ。母親を大切にすることはすてきなことですが、仕事とプライベートの間にはしっかりと分別をつけなければいけませんよね。
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