友人が結婚することになり
パ兄はひとり暮らしをしていて、彼女もいません。そろそろ結婚してもいい年ごろだとは思うものの、結婚そのものに興味がなく……。
その理由はパ兄の家族仲にありました。両親は妹のアイリを溺愛しており、パ兄は家族の中でないがしろにされてきました。
アイリも気に入らないことがあれば何でもパ兄のせいにして、両親はアイリの言葉をうのみにするばかり。パ兄は自然と家族の輪から外れ、高校を卒業すると逃げるようにひとり暮らしを始めました。
そんなパ兄の元に、ある日大学時代の友人であるヒロヤから結婚式の招待状が届きました。
自分は結婚願望がないパ兄ですが、ヒロヤが結婚するということはうれしく、しっかりと祝ってあげたい気持ちでいっぱいに。招待状を見ていると……新婦の名前にアイリと書いてあるのを発見!
同姓同名か? と思いましたが、添えられていた写真を見ると、紛れもなく妹のアイリが写っていたのでした。
式で両親と再会し
実家とは疎遠になっていたため、自分がアイリから結婚式に呼ばれなくても不思議ではなかったパ兄。アイリが嫌がるだろうから欠席しようかと思いましたが、ヒロヤとアイリが結婚するなんておもしろそうだと思ったので出席することに。
式当日、パ兄は式場には多くの参列者がいたため妹や両親はもしかしたら自分がいることに気付かないかもしれないと思いました。
しかし「な、なんでパ兄がいるのぉ!?」とすぐ母親に見つかってしまいました。父親からも招待していないはずだと言われ、アイリの晴れ舞台を邪魔するつもりかとパ兄は言われてしまいました。
アイリの式を邪魔しようだなんて考えていなかったパ兄は、両親にとって自分は絶対的な悪なのだと再認識する羽目に。昔から何も変わっていない両親にあきれるしかありませんでした。
「天国のお兄ちゃん、見てる?」
母親から「アイリは大企業の御曹司と結婚したのよ! あなたみたいな兄がいるなんて知られたら、破談にされちゃう!」と言われ、式場を出て行くように言われたパ兄。何か策があるわけではありませんでしたが、パ兄は素直に両親に従って式場を出て行くことにしました。
しかし、せっかく来たのだからアイリのスピーチくらいは聞いて帰ろうと思ったパ兄は、ドアの影から式の様子を伺うことに。アイリがスポットライトを浴び、スピーチを始めたのですが……。
「私は両親の愛に包まれて、本当に幸せです。でもね、本当はもう1人、ここにいて欲しかった人がいるんです」「天国のお兄ちゃん、見てる?」とまさかのパ兄が亡くなっているという設定で話をし始めたのです!
式場には参列者のすすり泣く声が響き、感動的なムードになっていました。パ兄はアイリの発言に戸惑うばかりでしたが、そんなパ兄を置いて式は進みます。
アイリに続き、ヒロヤのスピーチが始まりました。ヒロヤは「私には人生を変えてくれた恩人がいます」と言い、大学時代の友人が自分に対して厳しくもやさしく接してくれたと話をしていました。
恩人にお礼が言いたくて…
ヒロヤはスピーチの最後に「今日はその恩人にこの場を借りて心からのお礼が言いたくて、呼んでおります」と言いました。参列者たちが誰だとざわめく中、ヒロヤが呼んだのは……なんとパ兄!
式場には拍手が鳴り響いていましたが、パ兄の席には誰も座っておらず、ヒロヤは慌てた様子に。パ兄の両親やアイリも同じく慌てていましたが、顔色は真っ青でヒロヤとは別の意味で慌てていたようでした。
ヒロヤに呼ばれて出ないわけにはいかない! とドアから顔を出したパ兄。ヒロヤはずっとお礼が言いたかったとパ兄に言い、とてもうれしそうな様子でした。
パ兄は新婦にも友人としてあいさつがしたいと言い、マイクを手に取りました。
そしてひと言「皆さん、初めましてぇ~どうもよみがえった兄ですw」と言い放ちました。
何の取りえもないくせに!
パ兄の発言に式場内はざわつき、あちこちからひそひそと話す声が聞こえてきました。パ兄の両親は息子は5年前に死んだ! と主張しましたが、パ兄が式場から追い出されていた瞬間を見ていた人がおり言い逃れできない状態に。
兄が死んだというのはうそだと認めざるを得なくなってしまったアイリは「私をチヤホヤしないからパパたちに怒られるように仕向けたら、尻尾巻いて逃げちゃってさwあ~情けないw」「今さらノコノコ現れないでよね!」と人目を気にせず言いました。
アイリの本性を見たヒロヤは「婚約破棄させてもらうよ」とひと言。それに対し「無職の娘をこれ以上面倒見きれないわよ!」とアイリよりも先に両親が婚約破棄に待ったをかけました。
しかし自身の恩人に無礼を働いたアイリたちをヒロヤが許すはずもなく……結婚式は婚約破棄式になってしまったのでした。
その後、婚約破棄の原因はアイリにあるとして結婚式の費用を慰謝料として支払うことになったアイリたち。これまで無職だったアイリは昼夜問わずアルバイト生活を送ることになってしまったそうです。
--------------
自分が一番かわいがられたいからという理由で兄を家族の中から追い出したアイリ。結婚して新しい家族を持とうとしたものの、ヒロヤとは家族になれませんでした。因果応報とはまさにこのことですね。
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!