疎遠になっていたりなからかかってきた1本の電話。うれしい報告のはずでしたが……。
別々の人生を歩んでいた妹から…
大手印刷会社で営業をする、佐伯さえ(27)。2つ年下の妹・りな(25)とは仲が悪く、疎遠になっていました。
母子家庭で育った姉妹は、幼いころは仲がよく、よく遊んいたそう。しかし、思春期を迎えると状況が一変し、ケンカが絶えなくなります。オタク趣味だったさえと、おしゃれ大好きなりなは、真っ向から対立。次第に、お互いを軽視するようなりました。
りなは18歳になり、進学せずに家を出ます。そうして、お互い干渉することなく、別々の人生を歩んでいました。
母とは連絡を取っていたりな。ある日、りなから電話を受けた母は、衝撃的な言葉を聞くことになります。
「私、出産したから病院に来てくれる?」
「出産!? 妊娠じゃなくて!? どういうこと!? 体は平気なの!? 相手は!? 結婚は!? 今どこ!? 何やってるの!」
状況がつかめず、質問が止まらない母。
「すぐ行くから」と電話を切った母は、「さえ、りな……出産したって……昨日……」と、やっとの思いで言葉を発します。
「は? 出産……? あの子妊娠してたの?」
「知らないよ! 最近、全然連絡をよこさないと思ったら……」
混乱する母とさえ。母は慌ただしく病院へ向かいました。さえは、新しい命の誕生の喜びよりも、不安のほうが大きく、困惑するのでした。
妊娠も知らない状況で、突然、「出産した」と家族から連絡を受けたら、混乱してしまうのは当然ですよね。さえが言うように、新しい命の誕生は手放しで喜べる、幸せな出来事のはず。いくら家を出ていたからといって、連絡を取っていた母にまで妊娠の報告をしなかったのはなぜなのでしょう……。
これから子育てが始まるりな。家族が困惑する報告とはなりましたが、周りの助けを借りながら、子どもが健やかに育つことを願うばかりです。