退院前日、副院長がサキさんのもとを訪れ、貧しかった自身の生い立ちを話したうえで、カトリックの教えに従うこの産院は、出産に難を抱える人には出産費用の援助をしており、母親の味方であることを話してくれました。
入れ替わりで院長の妻がやってきて、サキさんは心に引っかかっていることを質問します。「この子は私の元に来たかったのか?」。その質問に、当初は中絶をしにきたがそうしなかった。それがすべてと答え、その言葉にハッとするサキさん。相談していた里子についてどうしたいかを問われ、自分で育てたいと涙を流して答えるのでした。
あたたかい産院の人たちに見送られ、新しい生活へ
※「検診」…正しくは「健診」と書きます。
退院の日。会計に向かったサキさんは個室だったため、支払いが高額になることを覚悟していましたが、予想外の金額でした。あまりの金額の安さに確認をするサキさんは、前の日の副院長の言葉を思い出しました。
「出産に難や問題を抱えている人には、カトリックの教えに沿って援助している」
出産一時金の差額を支払うとしても、10万円は下らないはずでしたが、これからシングルで子育てをしていくサキさんにとってありがたく、これからの始まる生活への励みになりました。
病院を出るときには副院長と院長の妻も見送りに来てくれ、一緒に記念写真を撮って、あたたかく送り出してくれました。
そのころ、子どもの父親であるゴリは留置場にいましたーー。
◇ ◇ ◇
一時は自分ひとりで育てていく自信が持てず、里子に出すことも考えていたサキさん。
利用した産院はサキさんのように出産に問題を抱えている人に寄り添ってくれ、心のケアはもちろんのこと費用面での大きな助けとなってくれました。
ゴリという父親には恵まれませんでしたが、選んだ病院はサキさんにとって必然の場所で、神様のサポートがあったと思わずにいられませんね。
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