専業主婦の依子(よりこ)は、夫である真司(しんじ)の要望で結婚を機に退職しました。毎日家事に励んでいる依子ですが、結婚してから束縛の強くなった夫に違和感を覚え始めていて……。
結婚後から豹変した夫
依子の最近の悩みは、夫の束縛。結婚してからというもの、服装やメイクに注文を出してくるように。おしゃれは依子にとって好きなことのひとつであり、誰かに見せるためにやっているのではないと説明しますが、納得してくれません。アプリで行動を監視されるなど、外出も夫の許可なくできなくなりました。思い切って意見したこともありましたが、真司は「専業主婦のくせに生意気を言うな!」と一喝してきます。
「食べさせてやって、家では好きにさせているのに何が不満なんだ」と言う夫に、我慢できなくなってきた依子。専業主婦が意思を持ってはいけないのなら、対等になるよう自分も働きに出たいと話します。それに対して真司は「家事は嫁の役目」 と主張し、あくまでも不平等をなくそうとはしませんでした。挙げ句、覚悟を持って行動するためのお守りとして、離婚届にサインをしておけとまで言い出したのです。
「夫婦は、支え合って生きていくものだと思っていたのに……」 離婚をちらつかせて脅すなど、依子は夫の態度がとても子どもじみたものに感じました。さらに、婚期を逃していたから結婚してやったとまで言われ……。深く傷ついた依子に、さらに追い打ちをかけるような出来事が起こりますーー。
結婚してからの我慢も限界に…
その日も、真司はいつものように、あれこれ依子に命令をしてきました。しかし、彼女はいつもと違って、それには動じません。
「お前は俺の嫁だろ? なら口答えすんなw 」
「昨日まではね? 」
「え……? 」
そうです。依子はもう真司のいいなりにならなくてもよくなったのです。
数日前、依子がゴミ箱で見つけたもの、それは「採用通知」でした。仕事を探している依子をよく思っていない真司が、こっそり捨てたのでしょう。その採用通知を見つけたとき、依子の心は決まりました。あの、記入済みの離婚届を出すのは今しかない!と。
あれだけ離婚を脅しの材料にしていた真司ですが、離婚届を出したことを知ると驚き、そして怒り出しました。ですが、依子にはもうやり直す気持ちはありません。これまで十分尽くしたと、真司に伝えました。
奪われたものは返してもらいます!
真司は、新婚なのにすぐ離婚だなんて恥ずかしい……と、周りの目を相当気にしている様子。離婚の原因は依子のわがままだと吹聴すると騒ぎます。一方の依子は、離婚の理由は親しい人にだけ理解してもらえればそれでいいと思っていたのでお構いなし。離婚する事を両親に話したときも、理解を示してもらえました。
そんな依子の両親に対して真司は、頭がおかしい、だからこんな子どもができるんだなどと侮辱。これには依子も怒り、「両親と話し合って、あなたに勝手に捨てられた物や今までの言動を訴えることにしたから」と言いました。 それを聞いて真司は形式的に謝りますが、心がこもっているとは思えず。最終的には弁護士を挟んで話すことになりました。
義理の両親も参加して行われた話し合いでは、復縁を望む真司が婚姻届を持参。そんな息子の姿を見て、義父はさすがに強く叱りました。おかげでその後は話し合いがスムーズになり、接触禁止の誓約書にサインをもらいました。
その後、真司はというと離婚の真相が周囲にバレて会社で孤立。自暴自棄になり、生活すべてがボロボロに。一方の依子はというと、通知のあった企業に就職。今は元夫に奪われた自信と自由を取り戻しながら、好きな事を楽しむ生活を満喫しています。
真司は妻の言動を制限し、支配しようとするモラ夫ですよね。婚姻関係は維持されていても、妻にとって我慢の日々でしかなくーー。依子は早い段階で一歩を踏み出せてよかったです。結婚生活が大変だった分、幸せになってほしいですね。