一方そのころ、ビジネスホテルに泊まりながら、お目当ての男性がいるボーイズバーに通い詰めていたりな。「キキ、元気にしてるかな」と娘を想う瞬間があるものの、「も〜何もかもめんどくさ……」と半ばやけくそ気味でした。
家を出て1週間経つと、お金が底をつきそうになり、焦ったりなは、たけひこに連絡しました。養育費の前借りをお願いすると、「ボーイズバーで散財しすぎた?」とひと言。りなが通うボーイズバーに、たけひこの知り合いがいたため、情報が筒抜けだったのです。
そして、遊ぶために使っているならと、養育費を4万円に引き下げると言われてしまい、動揺したりなは……。
すべてがバレて絶体絶命!
「公正証書があるから」と養育費の減額を認めないりなですが、たけひこは「収入が下がったから正当な事由」と反論。
「絶対嘘! 男なら約束守れよ!」と食い下がるりなですが、たけひこはりなのSNSを見たようで……。
「公開アカウントでベラベラと全世界に発信してたな〜」
りなのSNSには、結婚の計画をもくろみ、高額な養育費に歓喜し、出産費用を水増し請求していたことなど、たけひこをあざむいていた事実が書かれていました。
「待って! 私のじゃない! なりすまし!」
りなの言葉が届くはずもなく、電話を切られてしまいます。
時は戻って、1週間前。母から「キキを引き取ろうと思う」という話を聞き、「条件がある」と伝えたさえ。
それは、「引き取るならりなを絶対この家に入れないこと。りなのわがままを許さないこと」というものでした。「キキのためにも、覚悟を決めて引き取らないといけない」と話します。
「私には私の人生があるから、いずれは別居することになる。でも、金銭面では支援するよ」
さえは、母とキキちゃんをできる限り支えようと思っていました。
謝る母に、「……いいよ。私、お母さんもキキも好きだから」とさえは、キキちゃんを愛おしそうに抱くのでした。
「キキのため」その一心で覚悟を決めるさえと母。いくら血の繋がった孫や姪であっても、子どもを引き取るという決意は、並大抵のものではありません。
“育ての親”という言葉があるように、愛情を持って育ててくれた人が子どもにとっての親になるのではないでしょうか。りなが改心して、キキちゃんの側にいることが一番です。しかし、引き取るとなった場合でも、キキちゃんに大きな愛情を向けるさえと母がいれば、キキちゃんが幸せに暮らす未来が見えるような気がします。