夫の英夫(ひでお)、もうすぐ2歳になる娘のアヤと共に暮らす菜穂子(なほこ)。お隣の藤井さんとも良好な関係を築き、子育てに専念しています。
夫は酒好き
菜穂子の夫、英夫は無類の酒好き。ひと度飲み始めると始末に負えなくなってしまいます。娘のアヤが生まれて、飲みに行く頻度は下がったものの、飲み方は相変わらずな英夫に菜穂子も頭を抱えています。
仕事中にもかかわらず「二日酔いで頭が痛い」と連絡をしてきた英夫は、前日から朝まで飲み明かし、挙句の果てにマンションの廊下で寝ていたのです。隣人の藤井さんに鍵を渡し、家に入れてもらったことすら覚えていませんでした。
人様に迷惑をかける飲み方を続けている英夫に、菜穂子は「今月は飲みは禁止」「破ったら禁酒」と告げます。英夫もしぶしぶながら受け入れるのでした。
倒れた父
数日後――。
菜穂子の父が急に倒れ、菜穂子は病院へ。父の命に別状はなかったものの、菜穂子は実家に一晩泊まることにしました。
一方、アヤを寝かしつけていた英夫。少し便秘気味なアヤは、おなかが痛いこともあり、ぐずっていたようです。もうすぐ2歳になるアヤの誕生日はちゃんとお祝いしようと、英夫と菜穂子は約束するのでした。
信じた私が馬鹿だった
数時間後――。
菜穂子のもとに、隣人の藤井さんから連絡が入りました。
「アヤちゃん、家の前で泣き叫んでたので保護しました」
「こんな深夜に子どもを置いてどこに居るんですか!?」
「え?夫が居るはずなんだけど…」
藤井さんによると、家の中には誰もいなかったとのこと。30分ほど待っても、英夫も菜穂子も帰ってこないため、菜穂子に連絡をしたそうです。
菜穂子は驚いたものの、藤井さんにアヤを保護してくれたお礼と、自分の父が倒れて病院にいることを伝えました。そして、今すぐアヤのもとへ帰ることを決断します。
さらに数時間後――。
「爆睡してたらアヤがいなくなった」と焦った様子で連絡をしてきた英夫を、菜穂子は「嘘をつくな」と一蹴。藤井さんにアヤを保護してもらったあと、菜穂子はアヤを連れて、自分の実家に戻っていたのです。
「また飲みに行ったんでしょ」と問いただす菜穂子に、英夫は「近くの友だちに誘われて、1杯くらいならいいかなって……」と自白。
「家の中でも怪我するかもしれない」「アヤを見つけたのが藤井さんではなく悪い人だったら?」と問い詰められた英夫は、顔を真っ青にします。しかし、謝罪に続いた言葉は、「二度とお酒は飲まない」ではなく、「お酒は控えようと思った」という反省の見られない言葉でした。
事の重大さが分かっていない英夫に、菜穂子は離婚を切り出します。たった1歳の娘を放置できる英夫の認識の甘さにうんざりした気持ちになったのです。「離婚したくない」と繰り返す英夫を、菜穂子は「もうあなたにアヤは任せられない」と突き放すのでした。
「今月はもう飲みに行かない」という約束を破り、よりによってアヤを1人残して飲みに行った英夫。英夫への信頼を失った菜穂子は、弁護士を雇い、何度も話し合って数カ月後に離婚を成立させました。そして英夫は菜穂子に養育費を支払うことに。
離婚して数日後、藤井さんから英夫が酔っ払って帰ってきたことを聞いた菜穂子。自分の決断は間違いではなかったと確信します。実家で在宅の仕事をしつつアヤの成長を見守ろうと考えている菜穂子。退院した父と母と共に、愛情いっぱいにアヤを育てていくことを改めて誓うのでした。
自分の欲望を優先して、娘を危険にさらした英夫。菜穂子の実家に来て何度も謝っていたようですが、許されることはなかったようです。英夫さん、「後悔先に立たず」ですね。