高級店で貧乏人認定され……
28歳会社員のパニ子は、一家の大黒柱として長年頑張ってくれた父の還暦祝いのため、母と高級レストランでの食事を企画。評判の良い高級店を3カ月も前に予約しました。
当日、お店に到着した3人は入店前からワクワク。ところが、入り口のドアを開けたところ、目の前にいた若い男性マコトにこう言われたのです。
「困りますよ、こんなとこに来られちゃあ~! 邪魔だから出て行ってもらえません?」
自分は店長だと言うマコトは、「予約したからって誰でもこの店に入れるなんて大間違い!」とパニ子たちを門前払いしようとしました。おまけに、「あなたがた貧乏人が入るところじゃない」とまで……。
憤慨したパニ母ですが、マコトはパニ子の父を指して「特にあんた! そんな破れたジャケットなんて着やがって!」と見下すような態度です。
この店にドレスコードはないはずと反論しても、服装をあげつらい、貧乏人と断定して家族ごと追い出そうとするマコト。加えてパニ子たちの軽自動車にまで目をつけ、「やっぱり貧乏家族だ!」と勝ち誇ったように高笑いしたのです。
父が帰ると決めると他の客が集結!
不遜な言動を続けるマコトに、パニ子の父は「それなら帰る」と踵を返し、パニ母は「後でどうなっても知らないよ……」と告げました。
「ようやく自分たちの立場がわかったか」とうれしそうなマコトを放置しつつ、パニ子と父は「おっと、みんなに伝えるのを忘れていた」と店内に戻りました。マコトは「みんなって?」と止めようとしましたが、そこではすでにパニ母が他の来店客たちに事情を説明していて……。
「私たち、全員帰らせていただきます!」「みんな怒り心頭ですよ!」
なんと、店内にいた客全員が席を立ち、パニ子たちのいた入り口まで集まってきたのです!
仰天するマコトに正体を明かした父
「な、なんだって? どういうことだ?」と驚くマコト。今日はパニー・ホールディングスという企業の貸切で、パニ子たちとは関係がないはずだと慌てています。そこに現れたお客の1人がこう言いました。
「あなたは会長のことを見下し、帰れと言い放った。だから私たちもここを出ていく」と。
そう、マコトが貧乏人認定した父はパニー・ホールディングスの会長で、パニ子もパニ母も同企業の一員。この日は大勢社員を集めての還暦祝いだったのです!
仰天した彼は、「あ、あなたが会長だったなんて……」とうろたえ、「なぜボロボロのジャケットをわざわざ着て……」と解せない様子。
ところどころ破けたそのジャケットは、古くても高級ブランド品。実は、パニ子が18歳のときに初ボーナスで父に贈ったものなのです。「大切な記念日だからこそ、これを着る」と父が決めていた思い出の服なのでした。
自称店長マコトの本性は?
パニ子は、慌てふためくマコトに「あなた、レストランのホームページに載っている店長と写真もプロフィールも年齢も違うわね」と追い打ちをかけました。さらにそのとき、本物の店長ヤスオが登場。マコトはというと、「お、親父……やべぇ……」と真っ青になっています。
どうやらこの2人、親子のよう。店長は、「俺の留守中になんてことを!」とマコトを叱り飛ばし、「息子が誠に申し訳ございません!」と土下座をしてパニ子たちに平謝り。
店長によると、放蕩息子だったマコトを1カ月前に従業員として雇ったばかり。急な出張で自分が外出する間お客を丁重にもてなすよう言い聞かせたにもかかわらず、この有様だったというわけです。
ダメ息子の末路
息子の愚かな行動の数々に激高したヤスオ店長は、その場で彼を絶縁。もともと筋金入りの遊び人で、ギャンブルの果てに借金を抱えていたというマコトは、職を失い、もとの転落人生へ逆戻り。その後、借金取りによってどこか寒い外国に飛ばされ、肉体労働を強いられているそうです。
一方パ二子たちは、責任を感じ誠心誠意陳謝する店長の顔を立て、還暦祝いをそのまま執りおこなったのでした。もちろんサービスは満載です。パニ子の父は、パーティの場でパニ母とパニ子、さらに全社員に感謝を述べ、集まった人々は大感激。ひと騒動あったものの、終わってみれば、思い出に残る素晴らしい還暦祝いとなりました。
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服装や車で人を判断し、貧乏人と決めつけて追い返そうとしたマコト。客商売ではまずありえない態度ですし、人としても礼を欠き、本当の店長である父にも恩をあだで返す行為では? その末路はまさに自業自得と言えそうです。ともあれ、還暦パーティはそのまま開催できたようでよかったですね。
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