理沙と太志は共働き夫婦。ある日、太志から義母が体調を崩したと聞かされます。思っていたよりも状態が悪く、義母は仕事を辞めて治療に専念することに。そこで、義母への仕送りの話が出たのですが……。
あまり思わしくない義母の状態
ある日、太志がなんだか慌ただしく連絡をしてきました。どうやら、義母が体調を崩してしまい、1人では病院もいけない状況のようです。太志は上司に相談して仕事を調整し、病院に付き添うことにしました。理沙も心配ではありましたが、2人で押しかけると迷惑になると太志に言われ、とりあえず今回は状況を見守ることに。
翌日、病院帰りの太志から報告を受けたのですが、検査で遺伝性の病気が判明。思っていたよりも症状は深刻でした。入院する必要はないと医師から言われたものの、今後のことも考えて仕事は辞めてもらったと太志から聞かされました。
また、外から菌などを持ち込むとよくないため、夫婦で話し合って理沙のお見舞いもしばらくは遠慮することに決めました。
義母が退職。仕送りをすることに
義母には他界している義父の遺産があるものの、予定外に仕事を辞めたことで金銭的な心配が出てきました。これから通院が増えると出費も増えます。そのため、太志から仕送りをしたいと思っているという相談をされた理沙。
これまで義母にはお世話になっており、関係も良好なので理沙はその提案を快諾。今後、症状の変化によっては金額が増えるかもしれませんが、ひとまず月5万円の仕送りが決まりました。
「それじゃあ、後で母さんの口座教えるから5万だけ入金しといてくれ」太志がそう言って、この話は終わりました。
完璧な計画にほころびが…
1カ月後の給料日。
ちょっと聞きたいことがあると太志から連絡がありました。
「俺の言った口座に金入ってないんだけど...」
義母の仕送りについて、WEBで確認してもお金が入っていないと言うのです。
「私はちゃんとお義母さんに仕送りしてるよ?」
理沙は続けて、太志から言われた口座には入金していないことも伝えます。
「え...?」
実は先月、理沙のもとに元気な義母から連絡があり、そしてその場で義母の病気や仕送りの話が太志の作り話であることを知ったのです。仕送りのために入金しておくよう言われたのは、あろうことか不倫相手の口座。離婚までに少しでもお金を移しておこうと思ったようです。
太志は来年、理沙と離婚して不倫相手と再婚する計画を立てていました。興信所を使ってすべてを調べ上げた理沙。もう未練はありません。そのまますんなり離婚が成立したのですが、問題はその後……。予定外に理沙から慰謝料を請求された不倫相手は、離婚するまでに入ってくるはずだったお金がなくなったと知り、もう太志と結婚する理由はないと去ってしまったのでした。
不倫相手に捨てられたと気付いた太志は、この期に及んで理沙にすがりついてきますが、相手にするわけもなくーー。当初の計画が崩れ、慰謝料を払ってお金もなくなり、不倫相手にも逃げられた太志は、何もかも失いました。
一方、理沙は義母と連絡をとっており、離婚後も優しくしてもらっています。これからもこの関係を大切にしながら、新たな幸せを探していこうと思うのでした。
太志は、ウソをウソで固める、とんでもないクズ夫でした。これからは身の丈に合った生活を送りながら、家族・信頼・感謝など、お金では買えない価値あるものに気づけるといいですね。