優先席付近に乗ってしまった日
妊娠中も電車で通勤する日々。もともと気を使われることが苦手な私は、電車では立つ派だったのですが、妊娠7カ月にもなると「どうぞ座って」と声をかけられることが増え、断ることにストレスを感じ始めていました。
ある日、優先席付近に乗ってしまい、いつもよりおなかを隠すように立っていました。すると、少し車内が空き始めたときに、60代くらいのご婦人が私に声をかけてくれたのです。
「どうぞ座って」のあとに続く言葉
予想通り「どうぞ座って」と声をかけられ、すぐに降りることを伝えてお断りしました。すると、笑顔で「おなかの赤ちゃんのために、どうぞ座ってあげて」と、思いもよらない言葉が返ってきたのです。
自分の気持ちだけを優先していたことへの恥ずかしさと、自分だけの体ではないのだと再認識させられ、お礼を伝えて譲ってもらった席に座りました。おなかの重みが足の付け根にのり、なぜか少しホッとしたのを覚えています。本当は私、おなかが重くて座りたかったんだなと気づいた瞬間でした。
妊娠中は体がどんどん変化し、今まで当たり前にしていたことができなくなることも多く、どこかやるせない気持ちになるときもありました。しかし、ご婦人の言葉で自分の本当の気持ちに気づくことができ、そしておなかの赤ちゃんの成長も感じることができたのです。私も、おなかの大きい妊婦さんを見かけたら、ご婦人が私に声をかけてくれたときと同じように伝えてあげよう!と思っています。
「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。
監修/助産師 松田玲子
イラスト/ミロチ
著者:楠 かのえ
2017年生まれの女の子と2022年生まれの男の子の母。子どもたちから教わることが多い日々を過ごしている。夫とは子どもが生まれてから不穏になったが乗り越えた。お酒を飲みながらの読書が好き。