体育の見学は許されない
体育の授業が異常に厳しい高校だったのです。授業を見学できるのは、持病があり運動を制限されている生徒 (入学時に届出が必須)、 またはけがなどで明らかに運動ができない状態にある生徒だけ。「少し風邪気味で体調が悪い」なんて理由での見学は許されませんでした。
また、授業中の返事は大きな声で、整列はまっすぐに、行進は前後隣と手足を揃えて……と、まさにドラマや映画で観た「軍隊」のイメージそのまま。最初の体育の授業ではとても驚きました。
地獄の補習
夏の体育の授業は水泳。生理での見学は許されていましたが、後日放課後に見学した回数だけ補習を受けるという規則がありました。この補習は普段の水泳の授業時間より長く、延々と泳がされてとてもきついので、生徒の間では「地獄の補習」と言われていました。
地獄の補習を受けたくない生徒は、見学をしないように生理中でもタンポンを入れて授業に出ていて、その人数はかなり多かったと記憶しています。
私はタンポンを使ったことがなかったため「水泳と生理日が重なりませんように」と毎月、神頼みをしていて……。
初めてのタンポン
しかし、神頼みもむなしく、私にも水泳と生理日が重なる日がきてしまいました。見学して後日地獄の補習を受けるか、初めてのタンポンを使うか。前日に私と同じく生理だった友だちと一緒に悩んだ結果、タンポンを使うことにしました。
放課後、その友だちと一緒にタンポンを購入。自宅に帰って説明書を何度も読み、練習がてら自宅のトイレで初めての装着!
感想は「あれ?! 意外と簡単! これなら明日の水泳も大丈夫!」でした。翌日は何の問題もなくタンポンを入れて授業を受けることができました。
これは私が学生時代のお話ですが、今も生理で水泳を休んだ際に補習を受けなければならず、生理でつらい中でも水泳の授業に参加しなくてはならない、ということを耳にすることがあります。生理の理解が広まり、生理中に無理することなく過ごせる人が増えたらな……と願うばかりです。
※タンポンの過度な長時間使用はトキシックショック症候群(急な発熱、吐き気、めまい、失神などの症状)を引き起こす可能性があるため、パッケージ等に記載されている時間や使用方法をしっかり守りましょう。
著者/吉野 詠美
イラスト/赤身まぐろ
監修/助産師 松田玲子
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