美肌に大切な5つの要素とは?
――美肌を実現するための、具体的な方法を教えてください。
日比野先生 肌の老化には、紫外線や乾燥、睡眠不足、栄養不足、ストレスなど女性ホルモン以外にもさまざまな要因が挙げられます。特に、加齢と複数の要因が重なることで肌の老化は加速していきます。肌の老化を抑えて美肌を実現するためには、食事、睡眠、運動の三本柱に加えて環境とメンタルを整えること。私はこの五角形が大切だと考えています。
――今回は三本柱について伺いたいと思います。まずは食事から教えてください。どのようなものを食べるのが理想的なのでしょうか。
日比野先生 重要なのは、ビタミンやミネラルが豊富な食事を三食とることです。特に、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの「ACE(エース)」には優れた抗酸化成分があり“美容ビタミン”といわれています。紫外線によって発生する活性酸素を消去し、肌の老化を防いでくれるんです。
――先生が食事で気を付けていることを教えてください。
日比野先生 朝はたんぱく質をとるようにしていて、ゆで卵や目玉焼き、オムレツなどで卵を食べます。お昼はクリニックでスタッフと手作りの食事を食べることが多いのですが、お米は玄米や胚芽米、パンはライ麦パンや胚芽パン、全粒粉パンなど、炭水化物は白よりも茶色いものをとるようにしています。茶色い炭水化物は血糖値を上がりにくくして、老化を促進させる「糖化」の抑制につながります。
夜は会食などで外食が多いのですが、食べ過ぎてしまった翌日は前日の食事から16時間空ける「プチ断食」をすることもあります。プチ断食をすると細胞内の悪玉たんぱく質をエネルギー源に変えてくれるオートファジーという作用が生じます。オートファジーには、長寿遺伝子を活性化させる働きがあることが判明しつつあるんです。
日比野先生実践の「好きなもの」を食べる工夫
――著書の中にある「美肌循環」に、「浄」(肌にたまった老廃物を排出する)、「潤」(水分や養分で肌を満たす)、「育」(揺らがない肌の土台をつくる)、「断」(悪しき習慣から肌を守る)という4つのゴールデンサイクルがありますが、食生活で「断」をしていることはあるのでしょうか?
日比野先生 添加物や着色料など人工的なものが使われているものは、できる限りとらないということです。また、糖分の過剰摂取によって体内で糖化が進むと糖尿病などの病気をはじめ、肌の老化も引き起こします。ですから、先ほどお話したように白い炭水化物はできるだけとらないようにしています。
――糖分の摂取に気を付けているということは、スイーツは召し上がらないということでしょうか?
日比野先生 いえ……。実は私、甘い物が大好きなんです。
甘い物をとるとセロトニンという幸せホルモンが分泌されるので、幸福感を得ることができるんですね。以前の私はひと箱50円くらいのチョコレートのお菓子を10箱くらい買ってバクバク食べたりしていました。
でも最近は、そうした食べ方はやめました。その代わり、一粒200円もするいただきもののチョコレートを包丁で1/4くらいに切るなどして、少しずつ食べるようにしています。こうすることで、少量でも甘い物を食べたという気分が味わえて満足するんです。
――好きな食べ物を我慢するのは良くないということでしょうか?
日比野先生 何事も我慢しすぎるとコルチゾールというストレスホルモンの分泌が増えてしまうんです。ですから「本当は断ったほうが良いけれど、でも好きだから食べたい」というものは、食べ方を工夫するのが良いと思います。
美肌の維持に欠かせない運動と睡眠
――美肌づくりにおすすめの運動も教えてください。
日比野先生 適度な運動は健康を促進させるのですが、激しい運動は活性酸素を大量発生させて体内の炎症を引き起こします。その結果、老化が加速してしまうんです。
おすすめは、正座の姿勢から両手をゆっくりと前に伸ばして床につけて深呼吸を繰り返す「チャイルドポーズ」や、あお向けになって1分ほど片足ずつ曲げ伸ばしをする「足上げ」のような緩めのストレッチです。
――緩めのストレッチには、どのような効果があるのでしょうか?
日比野先生 就寝前にストレッチをおこなうと自律神経のバランスが整い、副交感神経が優位になってリラックスできるんです。血流が良くなるので身体のすみずみまで栄養を届けることができ、肌の調子が良くなります。
――美肌と睡眠の関係についてはいかがでしょうか。
日比野先生 睡眠中の肌というのは、ただ休んでいるわけではないんです。日中にダメージを受けた細胞の修復をするなど、肌の内側ではさまざまな活動がおこなわれています。質の良い睡眠を取らないと、肌の老化の速度は確実に早まっていきます。
――質の良い睡眠を取るために、先生はどのようなことを実践しているのでしょうか?
日比野先生 睡眠を妨げるカフェインは、摂取後、体内から抜けるまでには5~7時間ほどかかるといわれています。ぐっすり眠ってスッキリ目覚めるために、夕方以降はできるだけカフェインをとらないようにしています。
また、スマートフォンやパソコンのブルーライトには体内時計を狂わせる働きがあるので、寝る直前まで画面を見ていると睡眠の質が落ちてしまいます。質の良い睡眠を取れるよう、就寝前の2時間はできるだけスマートフォンやパソコンを見ないようにと心がけています。
<著書>
『医者が教えるすごい美肌循環』日比野佐和子/著 アンノーンブックス 1300円+税
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