ある日のこと。明美の夫である直人は、2歳になる義姉の子どもを預かってきました。義兄の仕事の関係で、子ども抜きで出席しなくてはいけない用事が海外にできたと言うのです。明美はそもそも義姉夫婦に子どもがいたことを知らなかったため、なんだかおかしい気がしましたが……。直人は忙しさにかまけて明美に伝えるのを忘れていたと言うし、1週間という期間だったので引き受けることにしました。
一体いつまで?預かり期間が延長
始めは1週間という話でしたが、10日、1カ月……と甥を預かる期間がどんどんのびるにつれて、何かおかしいと明美の疑問はふくらんでいきます。預かった当初は早く帰宅して協力するとほのめかしていた直人ですが、甥の面倒をみることはほとんどありません。在宅で仕事をしている明美がほぼすべてを担っている状態で、直人に出張の予定がはいることもあり、明美は不満をつのらせていきました。
夫婦には子どもがいないため、明美は育児経験がありません。ただでさえ甥を預かることが不安なのに、預かる期間がのびていく状況はさらに明美を不安にさせました。
仕事にも影響が出そうなので、他の親戚に預けることを直人に提案したのですが、甥がかわいくないのかと意地悪な言い方をしてくる始末……。挙げ句、「お前みたいな女が、子どもを育てたらひどいことをするんだろうな」 「母親の素質がないんじゃないか」 などと侮辱的な言葉までかけてきたため、明美の怒りが爆発。
怒りに任せて直談判!すると…
「お義姉さん、いい加減子ども迎えにきてくれませんか?」
とうとう我慢の限界に達した明美は、義姉に直接連絡しました。
「私子どもいないよ?」
「え……?」
かみ合わない話に、どうやら直人が何かを隠しているのだと、明美も義姉も気づきました。そこで2人は協力し、直人の秘密を暴くことにしたのです。
2週間後、ようやく甥が自宅へ帰ることに。明美が寂しがっていると思った直人は、自分たちも子作りを始めようかと提案してきたのですが……、明美は即却下。まだヘソを曲げていると勘違いしている直人に、明美は子どもがほしくない理由を説明しました。
義姉が明美に代わって調査をしてくれたので、すべてはお見通し。不倫相手の子を義姉の子だとウソついたことや、明美に子どもの世話を押し付けて不倫相手と旅行をしたこと、出張といつわり今も不倫相手の家に入り浸っていることなど、すべて……。そして、明美は堂々と離婚を宣言しました。
愚かな行為の代償は大きく…
直人が不倫していた相手は、同じ会社でシングルマザーのパートさんだったようです。育児が大変そうだったからと、わざわざ直人が有給をとって旅行に連れて行ってあげたなんて……。しかも安心して旅行へ行けるように、明美まで利用して……。
事実を突きつけると、離婚はしたくないと泣きついた直人でしたが、明美はもう夫のことを信じられませんでした。とんでもない行動と嘘の数々、謝られても許せないような言葉まで投げかけられたのですから。明美は義姉と義母の加勢を受け、離婚の成立、新生活の立ち上げを済ませ、今では幸せな生活を送っています。
一方の直人はと言うと、職場不倫がバレて降格。家族からも絶縁され、たくさんの大事なものを失う結果となりました。甥と言われて預かっていた子どもは、本当のお父さんのもとで楽しく暮らしているそうです。
不倫に加えて嘘をついていたことがバレれば、離婚されても仕方ありませんよね。これからずっと夫が言っていることを信頼できないですし、日常生活にも支障がでるはず……。夫婦がお互い幸せに生活していくうえで、信頼関係は大切にしたいですね。