唯一の女性社員
葬祭関係の仕事に転職して、新しい職場にも慣れてきた2年目のことです。数カ月間、遠方の営業所に行くことになり、私はその営業所で唯一の女性社員と一緒に現場を回っていました。
彼女はあまり喋らないタイプで、事務所にいるときはほぼ無言。正直少し近寄りがたい雰囲気があったのですが、「あと少しの我慢だ」と思ってやり過ごしていました。
仕事中に…
そんなある日、予想していたよりも早く生理がきてしまい、仕事中に気づいた私はパニックに!
「生理がくるのはまだ先だろう」と思っていたため、生理用品の持ち合わせがありません。さらに、次の現場での仕事が残っていて……。ティッシュで乗り切るにはさすがに無理があるなと思い、どこかでナプキンを手に入れようとしても慣れない土地で場所がわかりませんでした。
私だけではどうすることもできず、私が相方の女性社員にこっそり打ち明けると、なんと彼女がたまたま持っていたナプキンを貸してくれたのです。
さらに、「足りなかったら困るから」と2枚もくれました。そのおかげで制服や車の座席を汚すこともなく、安心して仕事を終わらせることができたのです。
ナプキンをきっかけに
後日、新しいナプキンを返すと、彼女は「いいのに」と言いながら受け取ってくれました。もらった物とは違うメーカーのナプキンを返したため、どこのナプキンが使いやすい、こうやって使ったら漏れにくいといった話をすることができました。
ナプキンの貸し借りを通じて少し話ができたのがとてもうれしかったです。
長期出張が終わり、私はもともといた営業所に帰りました。その女性社員とは何度か連絡をとっていて、今でも彼女の話を耳にすると「遠くで頑張っているんだな」という気持ちになります。
他の営業所の人にナプキンを借りるのは少し恥ずかしかったのですが、思い切って頼ってみたおかげで仲良くなることができました。自分が生理ではないときも生理用品を用意しておいて、誰かが困っているときに助けてあげられたらなと思います。
著者/石原優子
イラスト/赤身まぐろ
監修/助産師 松田玲子
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