さっそくめぐみはネックレスを探し出し、供養のためにある神社を訪れます。しかし、ネックレスを見た神主さんから、簡単に除霊できるものではないと言われ、すぐに次の候補の神社へ。2つ目の神社ではすぐにお祓いをしてあげると言われ、めぐみは53万を払ってしまったのです。てっぺいは勝手に大金を使われたことに激怒します。
その日、めぐみがソファーでうとうととしていると、再び……。
これは、自分を押し殺して自分に取り憑かれてしまった女性の話です。
もうひとりの私
ソファーで寝落ちをしてしまっためぐみ。すると、ゆうきを出産し、退院した直後に夢で見た恐ろしい姿の自分が再び現れ、めぐみ自身にささやきます。
「あーあーせっかく旦那に言い返せるようになってきたのに」「結局根本は変われないってことね……」
そして「私があなたになる」と言葉を続けました。
翌朝、目を覚ましためぐみがキッチンへ向かうと、ゆうきをおんぶしながら朝食を作るてっぺいの姿が。そのてっぺいは、家事や育児をめぐみに押し付けるてっぺいではなく、家事や育児を積極的に担う、めぐみがずっと父親として求めていたてっぺいの姿だったのです。
その姿を見ためぐみは、まるで自分の人生ではなく他人の人生を疑似体験しているような感覚に。
そして、めぐみは父親のお見舞いに向かいました。どうやら、父親は階段から落ちて足にヒビが入ってしまった様子。軽傷で元気そうな父親でしたが、どこか表情が曇っていました。
帰ろうとしためぐみを呼び止めた父親は、何かを伝えようとしているようでしたが、「車に気をつけてな」とだけ……。
めぐみは不思議に思いながらも病室を後にしました。
これはもうひとりのめぐみの話。
ある日、目を覚ますと、いつも奥底で眠っていた私が表に出ることができるようになります。
てっぺいへの不満をため込み、思ったことを相手に伝えられず我慢し続けたことから、言いたいことを何でも言えるもうひとりの自分が表に出始めたのです。
そして、言いたいことをなんでもさらけ出す自分が完全にめぐみさんの身体を支配しようとしていたのでした。
◇ ◇ ◇
めぐみさんが望んでいた日常というのは、てっぺいさんも当事者意識をもって家事や育児を担い、お互いが不満をため込まず穏やかな雰囲気で過ごすことなのではないでしょうか。めぐみさんの中にいる、相手への思いをなんでもさらけ出せるもうひとりの自分。めぐみさん自身が幸せになるために、もうひとりの自分とこれからどのように向き合っていくのか、誰かに相談したりしながら考えていけるといいですね。
バラシ屋トシヤさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。