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子育てをするとおばあちゃんは長寿になる!?『世界一受けたい授業』で紹介された「おばあちゃん仮説」とは?

2023年10月28日に放送された、日本テレビ系列『世界一受けたい授業』の番組内で「おばあちゃん仮説」が紹介されました。おばあちゃん仮説とは、育児と女性長寿の関係性を示した仮説で、放送後、視聴者の間で議論を呼んでいます。

この記事の監修者
監修者プロファイル

保育士小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学)教授、大阪教育大学附属天王寺小学校校長

兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年間勤務。3人の息子が生まれるたびに育児休暇を取得。市役所退職後、神戸常盤大学を経て現職。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。NPOファザーリングジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて積極的に発信をおこなう。「男の子の本当に響く叱り方・ほめ方」(すばる舎)、「育児父さんの成長日誌」(朝日新聞社)、「パパルール」(合同出版)など、著書多数。NHK Eテレ「すくすく子育て」出演。2022年より「保育」と「育児」分野のYahoo!ニュースオーサーに。
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番組放送後、SNSでは異論の声が多く見られています。「おばあちゃん仮説」とは、一体どのような仮説なのでしょう。

 

おばあちゃん仮説とは?

おばあちゃん仮説とは「女性は孫を育てるために長寿になった」というもの。シャチなどの哺乳類は、母親が狩りに出るため、子育てはおばあちゃんの役目なのだそうです。本来子育てが終わる(出産できない年齢になる)と生き物は寿命を迎えます。しかし、おばあちゃんは子育てをするために長生きしなければなりません。そのため、だんだんとおばあちゃんの寿命が延びたと考えられているのです。

 

番組では『おばあちゃんが子育てをすることで元気に長生きでき、子育てをおばあちゃんに助けてもらうことで母親の負担が減る。すると良い循環が生まれ、少子化対策にも良い影響を与える』という仮説が立てられました。

 

この仮説がたしかなら、互いにwin-winであることは間違いありません。しかし、おばあちゃんに育児のサポートを受けることに抵抗があるママや、自身の趣味などでシニアライフを楽しむおばあちゃんは、この仮説に違和感を抱いているよう……。

 

育児の専門家である大阪教育大学教育学部教授・小崎恭弘先生に、おばあちゃん仮説に基づく、ママとおばあちゃんの在り方についてお聞きしました。

おばあちゃん仮説の実態

小崎先生

「大正、昭和、平成の人々の標準的なライフサイクルを比較すると、寿命の長さという点が大きく異なります。約100年前の大正時代は、男女ともに平均寿命は60歳代でしたが、2009年になると平均寿命は80歳代まで延びています。そう考えると、現代社会の長寿化がより鮮明に感じられるでしょう。

 

また、注目したいのは老後の長さです。大正時代には数年だった老後が、2009年には15年にまで延びており、退職から先の人生が長期化していることがわかります。まさに寿命が長くなり、老後が飛躍的に長くなりました。


また結婚、妊娠、出産も、時代と共に遅くなりました。2022年の平均初婚年齢は、夫31.1歳、妻29.7歳で、長子出生年齢は母が30.9歳と過去最高となっています。

 

そんな中、老後をどのように過ごすのかは、高齢者にとって大きな課題です。さまざまな生き方や活動が考えられますが、そのひとつが“孫を育てる”ということ。孫育てが生きがいに繋がり、生活の張りとなることもあります。保育所などを見ると、祖父母が送り迎えなどに熱心に関わっているご家庭も見られます。

 

ただしあまりにその負担が大きいと、祖父母の生活も大変です。夫婦・祖父母、家族全体のバランスが大切だと思います。

 

ママからしても、家族の協力は大変ありがたいものですし、また家族間の愛情や関係性が深まっていきます。人との関わりが希薄な現代において、おじいちゃん、おばあちゃんとの関わりは子どもにとっても有意義なものです。


人々のライフサイクルが大きく変化していく中で、「おばあちゃん仮説」の一部は支持できると思います。しかしその負担が祖父母のみに大きくかかるのでは、本末転倒です。家族内の良いバランスが大切であると考えます。」

おばあちゃんを頼りたくないママはどうしたらいい?

小崎先生

「とはいうものの、おばあちゃんになんでも頼るのはストレスというママもおられるでしょう。けれども、子どもを育てるということは、決して親だけでできるものではありません。
 

さらに言うと、親以外の他人の力も借りたほうが、さまざまな人との関わりが生まれるので子どもにとっても良いのです。家族、身内に頼みづらい、と言うのであれば、ママ・パパの友だちやファミリーサポートサービス、民間のベビーシッターさんなど、子どもを取り巻くたくさんの人的なリソースを用意してほしいと思います。


子どもを育てるときに必要なひとつの力は『受援力』です。うまく他者に頼り、多くの人の中で子どもたちを育ててあげてほしいと思っています。」

子育てをする上で大切なのは…

ヒトの子育てにおいては、お父さんの参加も忘れてはなりません。おばあちゃん仮説に関しては賛否両論あったものの、その本質は「子育てに関わる人の手を増やすことで、子育てを楽にする・子育てを豊かにする」ということだと考えます。

 

夫婦・祖父母はもちろん、ママ友だちや子育てサービスなど、たくさんの手を借りて、良い循環が生み出せるといいですね。そして、女性が子どもを産みたいと思えるような世の中になり、少子化対策への歯止めとなることを願います。

 

 

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