息子が車道に向かって…
その日は、近所のショッピングモール内を散歩しました。
当時の息子は1歳半で、歩き始めたばかり。目が離せない時期でしたが、私は施設の入り口付近で荷物のほうに目をやってしまい、その隙に息子が車道のほうへ歩いて行ったのです。
私はベビーカーをその場に置いて、慌てて息子を捕まえました。
すると今度は誰も乗っていないベビーカーが風の勢いで動きだし、車道に向かって行ったのです。とっさのことで、足元のロックはかけていませんでした。
場所は交通量の多い駅前。私は娘の横に息子も抱えてベビーカーを追いかけました。
「ダメだ、車にぶつかる!」と思ったそのとき、正面の車が停止し、鈍い衝突音とともにベビーカーが止まりました。
見ていてくれたドライバー
私はベビーカーをさっと歩道に戻し、男性ドライバーに謝ろうとしました。強風の中、車から出てきた男性は「ほら、ロックかけないから!」とベビーカーを見て一喝。私はベビーカーがまた勝手に走り出さないようにロックをしたあと何度も謝罪し、車に何かあったときのために男性と連絡先を交換しました。
そして30分後、届いたのはこんなメールでした。「車は異常ありませんでした。お子さんが無事でよかったです」。私はほっとして、泣きたくなりました。男性は車道に飛び出そうとする息子と慌てる私の様子を見ていたのだ、と気づいたのです。
悪天候の中でのうっかりミスが生んだ大失態。この日に限らず、育児は反省の連続です。その一方で人の温かさに救われることもあり、そんな人たちの存在に感謝せずにはいられません。
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著者:おかもとえみ
2歳男児、0歳女児のママ。接客業や事務職、広告制作会社を経て現在は主婦ライター。ずぼらでマイペースな子ども好き。