病気で仕事を辞めた私に対し、ぐちぐちと毎日文句を言ってくる夫。
もともと私は最低限しかお金を使わないタイプでした。しかし、夫は「仕事の付き合いだから」「身に着けるものもそれなりじゃないと」と言って、散財を繰り返していたのです。それもあって、共働き時代からカツカツだった家計はついに火の車に。
すべて私のせいにする夫
「俺に節約しろって言うなら、まずは自分からやれよ」と言った夫。そして、ついにとんでもないことを言い出したのです。
「今日から、お前は俺が残した飯を食えよ」
働けない私のごはんは、夫の残ったご飯で十分だと言うのです。病気とはいえ、おなかは空くし、できる範囲で家事だってしているのに……。
私が退職してから、急に態度が変わってしまった夫。さすがに言い返そうとしましたが、「お前のせいで俺の小遣いが減ったんだ」と言われ、口をつぐむしかありませんでした。
「実家に帰りたい」と切り出した結果…
私が夫の残飯処理係になってから1カ月――。
夫の態度はますます悪化。家計どころか、私個人の通帳まで夫に取り上げられてしまいました。少ない生活費の中から買い物をして、そのレシートは夫に提出。病院代すらも夫に頭を下げないと出してもらえません。
節約のために毎日余りものを食べ、暖房器具を使わないようにしていた私。一方の夫は、毎日お酒を飲み歩いていました。この生活に限界を感じていた私は、「実家に帰って療養に専念したい」と夫に切り出したのですが……。
「俺がこんなにがんばって働いてるのにそんなこと言う?」
夫によると、上司が女性に変わったストレスを発散するために、毎日飲み歩いているのだそう。「そのお金があればもっと生活はラクになるのに……」と私がつぶやくと、「お前はわかってない」と、憤慨し、私の通帳を取り上げました。
やがて私の病状はすぐに悪化。次第に外へ出ることもままならなくなっていったのです……。それでも夫が私を病院に連れていくことはありませんでした。
手を差し伸べてくれた人は
数日後――。
わが家に珍しく訪問者が。その応対をしているうちに、突然体調が悪くなって私はそのまま倒れてしまいました。訪問者の方が救急車を手配してくれたようで、気付くと病院のベッドに寝かされていました。
サイドテーブルに置かれていたスマホを見ると、夫から「どこにいるんだ?」「お前、家の引き出し開けまくって、俺に黙って保険証持っていったのか?」などと、たくさんのメッセージが。顔色の悪くなった私に代わり、私を運んでくれた訪問者の方が返信をしてくれました。
「誰が病院に行く許可した?今すぐ帰ってこい!」
「奥さんとは二度と会えませんよ」
「は?お前誰だ?」
わが家を訪ねてきたのは、夫の直属上司の女性でした。夫に横領の疑いがあるとのことで、私に事情を聞きにきたのです。私の生活を聞いた上司は「病気の人を通院させないなんて!」と激怒。そのままメッセージで夫を叱り飛ばして、私の通帳一式を取り返してくれたのです。
実は、夫は飲み屋の女の子に入れあげていたそう。夫婦の貯金だけではまかなえず、私の独身時代の貯金にも手をつけようとしていたようです。暗証番号や印鑑がわからず、結局引き出せなかったようで、会社のお金に手を出したとのことでした。
その後――。
上司の女性は、横領の話し合いと同時に、私たちの離婚の仲介もしてくれることに。夫とは顔を合わせたくなかったので、私も素直に甘えることにしました。
結局、会社は被害届を出さなかったものの、夫は左遷。上司の女性によると、左遷先で横領分の返済に追われているそうです。
私には「離婚したくない」と泣きついてきた夫。夫に対する情はもうないため、私は淡々と「早く離婚届にサインしてください」と繰り返すのみに留めていました。事情を聞いた義両親からも一喝され、ようやく離婚に応じた夫。わずかばかりですが慰謝料をもらい、私は実家に戻ってゆっくり療養しています。