キャパオーバーで会社が危機に
28歳の私は1年前、この会社に転職しました。前の会社を辞めたとき、縁あって相談に乗ってくれたのがこの会社の社長でした。その恩もありこの会社で頑張ることにしたのです。
ただ社長には一点だけ心配な点が……。それは、仕事を多く請け負いすぎてしまうこと。社内は常にキャパオーバー気味でしたが、それでも私を含め社員はみんな、社長を支えようと頑張っていました。というのも、社長は親の介護や子育てにも理解を示してくれたりと、同僚たちも恩を感じていたからです。
そんな社長の人柄もあって、この危機を乗り越えようと社員一丸となって頑張っていた矢先のことでした。ある人物の発言で私のやる気がぐんと下がってしまったのです。
社員の士気を下げる人物とは?
ある日のこと。私は体調を崩して休んでいる同僚の仕事を引き継いでいて、疲労困憊状態でした。それを知ってか知らずか、「これ、明日までにやっておいてくれ」と部長が急に無理な仕事を振ります。
私が「今この仕事も抱えていて……」と説明するも、「はぁ?! お前の部長は俺だよな? 俺が頼んだ仕事より優先するものがあるのか!?」と怒鳴る部長。さらに「だいたいちょっと仕事できるからっていい気になってるんじゃないか? すぐ偉そうにしないでくれ」と嫌味まで言い始めます。
私は前職も同じ業界だったので仕事の処理は早いほうだと思いますが、部長はそれが面白くないようです。けれど、明日までの仕事を急に振られても誰しも困ってしまうはず。私は不服でしたが、部長自身は定時を迎えるとさっさと帰ってしまいました。
珍しく褒める部長
部長は前からとにかく暴言がひどく、新入社員に対してもきつい口調で威圧的な態度を取り、それに耐えられず辞めてしまう子も多くいました。多くの社員が部長に対して不満を抱いていましたが、どうすることもできずに我慢している状態です。
部長から仕事を振られてしまった以上やらないわけにはいきません。私が残業覚悟で取り掛かろうとすると、一連のやりとりを見ていた同僚たちが「手伝うよ」と声をかけてくれました。おかげで期日までに仕事を終えることができました。
そんな頼れる同僚たちと奮闘し、数カ月にはようやく会社の危機を乗り越え、キャパオーバーだった仕事量も通常に戻すことができたのです。同僚たちとお互いに労いあっていると、部長がやってきました。「いや~よかったな! 君たちのおかげだ!」と褒め言葉をかける部長。いつもと違う雰囲気に私たちは身構えます。
特別待遇の真意とは?
部長はニヤニヤしながら「特に君、素晴らしい働きだった。そんな君の成果を認めて、特別待遇を用意したよ!」と私に言いました。にわかに信じがたい内容でしたが、社長の了承も得ていると言われ、信じることに。ようやく今までの努力が認められたんだと、私はうれしい気持ちでいっぱいでした。
ところが次の日。いつも通り出社すると私のデスクがありません。戸惑っていると、部長から「ああ、俺が片付けた。君は今日から特別待遇で倉庫整理に異動だから」と言われます。私は慌てて「どういうことですか? 本当に社長も了承しているのですか?」と聞くと、「社長は出張中で部下のことは俺が任されている。つまり俺の決定は社長の意思と同じこと」と言い放ちます。
さらに部長は「目障り」「前から邪魔だと思っていた」など暴言を吐き続け、我慢の限界を迎えた私は「こんな滅茶苦茶な異動、おかしいです。私から社長に相談します」と反論。しかし部長は「うるさい! 俺の言う事は絶対だ!」と吐き捨てました。するとそのとき……。
傲慢な部長の残念な末路
「話は全部聞いたよ」と言いながら、社長が現れました。どうやらデスクを移動させる部長を見て、同僚たちが社長や人事に確認してくれたようです。社長は異変を感じ、急きょ出張先から戻ってきてくれました。
暴言を吐き続ける部長を見て、社長は「君、随分と偉そうだな。以前から君に対する不満がたくさん集まっている。この会社を危機から救ってくれた社員たちにこんなひどい態度をとっていたのか」と怒り心頭。社長いわく、部長はすべての成果を自分があげたことにしていたようです。
その後、さまざまな理由から降格を言い渡された部長。別の部署へ異動していきました。部長がいなくなってから、部署内の雰囲気は一気に明るくなり同僚たちのやる気も満ち溢れています。
私はというと、これまでの頑張りを社長が認めてくれたおかげで、なんと部長に昇進! 同僚たちもみんな喜んでくれて、今は部署内で一丸となって仕事に取り組んでいます。
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