お金についての意識や関わる頻度は、ご夫婦によってさまざまです。家計相談をお受けする際には、なるべくご夫婦ご一緒にお話を伺いますが、女性がメインで家計を管理して、男性は妻にお任せというご夫婦も少なくありません。
しかし、住宅ローンや生命保険、光熱費等の契約者は夫であることも多く、夫の協力がないと解決できない問題もあります。もし、そんな夫だった場合、家計に協力的になってもらうための3つの考え方をお伝えします。
1.現在や将来の状況をしっかり伝える
家計に関心の低い夫は、家計は現在も将来も大きな問題はないと考えていることが多いです。収支のバランスがよく、妻がコントロールできていれば問題ない家庭も少なくないのですが、子どもの教育費や将来の老後資金など、長期間準備しなくてはいけないものや、自動車購入や冠婚葬祭などのふだんと異なる多額の出費等について理解ができていないと、夫婦で揉めるきっかけになりやすいです。
まずは、現状と将来の収支などをご夫婦一緒に把握し、将来にかかる費用やそのための準備について考え方を共有するようにしましょう。ふだんの会話で話しにくい場合は、ボーナスや昇給の時期、出産前後や幼稚園・保育園等の入園前、住宅購入など、ライフイベントのあるときをきっかけにするといいですよ。
家計や将来の収支についてお話するときは、なるべく感情的にならず、金額や年数などの客観的データを使って話をするようにしましょう。夫側からすると、感情的に追い込まれると、家計についてさらに話す気をなくしてしまいます。
2.協力した分は夫にも還元する
家計に不足が生じたときは、夫のお小遣いを減らすのが当たり前と言った風潮もあるのですが、それでは夫のやる気も起きず、ますます非協力的になってしまいます。やむを得ない状況であれば、夫のお小遣いを減らすことも仕方のないことですが、できれば最終手段として、ほかのやりくりができないか考えましょう。
逆に住宅ローンや生命保険、電気やガス会社、携帯電話の切り替えなどをする場合には、契約者である夫が手続きをしないといけないことがほとんどです。その際に節約できる金額の一部を夫にも還元する提案をすれば動きやすいと思います。
たとえば、生命保険と携帯電話の見直しをすると、月15,000円の節約になるから、お小遣いを5,000円増やすような提案をすると、夫もやる気が出てきます。
3.話を聞かない場合でも大切な話はしっかりする
しっかりとしたデータを用意して、お小遣いに還元する提案をしても、話を聞かない夫はいると思います。その場合でも、大きなお金の準備が必要な場合や家計の厳しい状況が続く場合は、多少強引でもお話をする必要があります。
過去の電話相談で、50代の妻が、「夫がまったく家計に協力的でなく、収入が減った上に、病院への治療費がかさんでいるにもかかわらず、家計の状況を理解してくれません。自分の貯金もほとんどなくなり、どうにもならないのですが……」とご相談がありました。
結果、話し合いがつかず離婚されて、その後、妻は生活保護の申請をされたのですが、そうなる前に話し合う状況が整っていれば、離婚や生活保護の申請にはならなかった可能性もあります。
そのため、家計が厳しいときや転職や転居、子どもの進学など、変化のあったときは、できるだけ家計の状況を共有できるようにしてください。 大人になるとなかなか性格や考え方は変わりにくいのですが、家計は一生涯続くものです。
上記の例を踏まえて、ご主人の性格や状況に合った話し方や内容を心がけて、家計に少しでも協力的に関わるようにがんばってくださいね。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。