40代、50代の腟は若いときとどう違う?
乾燥して弾力が低下し、雑菌が繁殖しやすい状態
40代、50代女性の多くが腟をはじめとするデリケートゾーンに悩みを抱えているようです。
「年齢とともに肌やボディラインにたるみが出るのと同様に、何もしなければデリケートゾーンもたるんで老化していきます。そして40代、50代女性はいわゆる更年期世代です。女性ホルモンの分泌が低下することで体の組織の潤いがなくなり、弾力が低下する時期でもあります。
腟のゆるみを感じる、性交痛がある、といった場合は萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん)である可能性が高いです。萎縮性腟炎とは、女性ホルモンの分泌が低下することで腟が乾燥、萎縮して腟壁が薄くなる症状です。軽症から重症まで個人差が大きいですが、閉経後の女性の約半数が悩んでいるといわれています」(黒田先生)
ほかにも原因はありますか。
「腟のゆるみについては、骨盤底筋群の衰えも原因のひとつです。骨盤底筋群とは尿道、腟、肛門の周りを取り囲む、骨盤の底にある筋肉の集まりです。加齢や運動不足、そして女性ホルモンの分泌低下も重なって更年期は筋力が衰えやすい時期であるため、骨盤底筋群の機能も落ちやすくなります。
また、骨盤底筋群が衰えると腟だけでなく尿道もゆるみやすくなるため、尿漏れも起こしやすくなります」(黒田先生)
腟のセルフケアにはどんなものがある?
腟に直接美容液を届けるコスメもあります
腟も何もしなければ老化していくのですね。自分でケアはできないのでしょうか。
「婦人科では骨盤底筋群体操や腟トレーニングを推奨したり、性交痛対策として潤滑ゼリーや腟剤などを処方したりしています。ただ、体操は毎日コツコツと続けることが必要です。結果が見えづらいため患者さんが継続することがなかなか難しい、という話はよく聞きます。
そこで、婦人科に相談するまでではないかも、という場合は経腟美容液を使ってケアするのも一法です。
経腟美容液とは腟に美容成分を直接塗布し、吸収させることで腟内環境を改善するというプロダクトです。タンポンのような形状で、使い方もタンポンのように腟に挿入して美容液を塗布します。
腟は腕の内側の皮膚と比べて約42倍の経皮吸収率といわれています。粘膜なので、皮膚よりもダイレクトに作用するんですね。
私もヒト幹細胞培養液を配合した経腟美容液を使ったことがあります。現在はネット通販だけでなくドラッグストアでも手に入るようですが、デリケートな部位に使うコスメです。安全性に十分配慮した製品を選ぶことが大切です」(黒田先生)
美容医療ではどんなことができる?
レーザー治療で腟を引き締める治療が可能
美容医療では腟の悩みに対してどんな治療法があるのでしょうか。
「レーザーを照射して腟壁を引き締める治療がおこなわれています。マシンによって効果・通院数・費用などは異なります。大きくは炭酸ガス、超音波、高周波という3つのレーザー治療があります。
いずれも、マシンを腟内に挿入して腟粘膜にレーザーを照射します。それにより線維芽細胞(細胞を作り、皮膚の機能を保つ上で最も重要な細胞)が活性化され、新たなコラーゲン生成を促進させることができるのです。
3つの違いは深度と作用機序にあります。表面の浅めの層に作用するのがフラクショナル炭酸ガス、より深層にアプローチするのが高周波、それよりも深く筋層に作用するのが超音波(ハイフ)です。
超音波は「ハイフ」というマシンを使い、3週間後くらいから腟がふっくらするなどの効果を実感でき、1年間ほど持続します。炭酸ガスレーザーは1カ月ごとに数回通うことが一般的です。
費用はクリニックによって違いますが、どの治療でも12~15万円が一般的です。炭酸ガス、超音波、高周波のどれが良いかは、ドクターとの相談になります。クリニックによって導入されているマシンも異なるためです」(黒田先生)
まとめ
腟の内側から栄養を送る美容液、美容外科によるレーザー治療など、腟の悩みに対するアプローチを紹介しました。腟などデリケートゾーンの悩みは多くの女性が持つとわかれば、前向きに対策ができそうです。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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