新入社員の指導係に任命され…
入社してから早いものでもう5年が経った私は、課長から“新入社員の指導係”を任されることに。かつての私は失敗ばかりでしたが、指導係を任されたことで成長を認められたような気がしてとてもうれしくなりました。
私も新人だったころ、先輩社員から厳しくも温かい指導をしてもらったので、担当する新人さんをしっかりとサポートしたいと思っていたのです。
新入社員の言動に驚き!
この日、私が担当する新入社員と初めて顔を合わせました。部署で挨拶をする彼女を見て、正直なところ「少しぶりっ子……?」という第一印象を抱きました。けれど、先入観はよくありません。私は早速、彼女に声をかけました。
すると彼女は、ガラッと表情を変え「え、指導係って女なんだ。はぁ~ダルぅ~アテが外れたわ」と悪態をつきはじめました。さらに「結婚相手を探すために転職したのに。これじゃ台無し」とまで言う始末。
私は驚きを隠せませんでしたが、任された以上役目を放棄するわけにもいきません。なんとか笑顔をつくり「よろしくね」と挨拶。しかし彼女は「課長、結構イケメンじゃない? ちょっと年上っぽいけど、その分お給料も多いだろうし! 狙っちゃおうかな~」と聞く耳持たず。そこで私は「課長は結婚してるよ」と教えます。
それを聞いても彼女は「既婚者だから何? この私にかかれば、妻がいようが子どもがいようが楽勝だから♪」と諦めません。とはいえ、課長が彼女になびくこともないと思い、放っておくことにしました。
怒りが収まらないワケ
それから半年後。私の考えはあっけなく打ち砕かれました。なんと課長と例の新入社員の浮気が発覚したのです! しかも、彼女はすでに課長の子どもを身ごもっているようで……。課長は責任を取るために妻と離婚し彼女と結婚することを決意。
課長は愛妻家だと有名だったので私は驚きが止まりませんでした。けれど、浮かれて結婚を自慢する新入社員の様子を見て、現実を思い知らされました。
それから1カ月後に退職することになった彼女は、仕事をサボってばかり。私はイライラが募ります。そして彼女が結婚式の招待状を配り出したとき、ついに怒りがピークに。私は彼女のことが許せず、大喧嘩をしました。
私がここまで怒りを募らせた理由がひとつあります。それは、課長の元妻が新人の私を指導してくれた大切な先輩だったからです。厳しくも思いやりがある大好きな先輩が、つらい思いをしていると思うと居たたまれなくなりました。
最悪の結婚式
課長と新入社員の結婚式当日。私は欠席する予定でしたが、周囲から説得されしぶしぶ出席。私の気持ちに反して式は順調に進みます。
そしてブーケトスがはじまると、新入社員が放ったブーケが私の足元へ。すると彼女はすごく不満そうに「うわ最悪! もう一回やり直そう」と言います。私も「謹んで辞退させていただきます」と言い、ブーケを返しました。
そして再び投げられたブーケは、同僚の元へ。けれど彼女も「私も遠慮します」と言ってブーケを返しました。それから何度かブーケトスがやり直しになりましたが、他の女性たちも全員受け取りません。
それもそのはず! 参列した私以外の女性社員たちもみんな、課長の元妻である先輩にお世話になっていたのです。
略奪女の迎えた結末は?
「あんたたち、上司の妻に恥をかかせていいと思ってるの?!」と新入社員は激怒。すると部長がやってきて「何言ってるんだ、君の夫は降格が決まったぞ。それと地方の支社への転勤が決まった」と言います。
これを聞いて課長も新入社員もびっくり。実は、離婚が決まったことで先輩(課長の元妻)が職場に戻ってくることになりました。仕事ができていつも頼りにされていた先輩が、課長職に就くのだとか。
そうと知った新入社員は怒りに身を震わせ「役職のない男なんて意味ない! 妊娠したっていうのも、奪うための嘘だし!」と言い始めました。これには課長も怒りだし……結婚式はめちゃくちゃに。
結局2人の結婚は破談に。けれども、課長の降格は変わらず、転勤となりました。新入社員も元々の予定通り退職しました。その後、大好きな先輩が戻ってきて、今とても仕事環境が充実しています。先輩のサポートができるように、これからますます頑張りたいです。
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