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実は女性にも多い!突然おなかに激痛をもたらす「尿路結石症」とは一体どんな病気?【医師解説】

前触れもなく突然おなかに激痛が走り、救急車を呼んで病院へ行く人も多いという「尿路結石症」。男性に多いイメージがありますが、患者の男女比は2:1と、実は女性にも多く見られる病気です。閉経後の女性に見られる病気の1つである「尿路結石症」とは一体どのようなものなのか。泌尿器科医の窪田徹矢先生に教えていただきました。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師窪田 徹矢 先生

くぼたクリニック松戸五香院長。獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。専門医である泌尿器科および皮膚のトラブル、生活習慣病を含めた内科まで幅広く診察。メディア出演も多数あり、医者YouYuberとしての情報発信もおこなっている。
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尿路結石症とは?

尿路のイラスト

 

尿管に石が詰まってしまう病気

尿路結石症とは、腎臓(右腎・左腎)から尿道までの尿路に結石ができる病気のこと。結石はシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどの塊で、形状はギザギザとした形をしています。

 

その結石が、腎臓から膀胱のほうへと下りて尿路をふさぐことで痛みをもたらします。結石が腎臓から膀胱へとつながる尿管という細い管を通るとき、脇腹や腰、背中に強い痛みを感じることになります。

 

腎臓から尿管、膀胱、尿道と尿が通る道のことを尿路と言い、結石はそのすべてを通過するため、尿路結石症という病名になっています。

 

尿路結石症の主な原因は、以下の4つが挙げられます。

 

水分不足

高カロリー、高脂質な食生活

運動不足

内分泌異常

 

水分不足は尿の濃度が上がり、尿路結石症のリスクが高くなります。尿酸値などが高くなると、尿酸結石という結石ができることもあります。

 

内分泌異常というのはホルモン分泌の異常のことです。甲状腺などのホルモンの分泌が過剰になったり不足してしまったりすることも尿路結石症の原因の1つ。

 

閉経後の女性はエストロゲンの分泌量が減ってしまうので、尿路結石症になってしまうということもあります。

 

また、尿路結石症は生活習慣と密接に関係しています。尿路結石症の患者さんの約40%が肥満で、糖尿病や痛風などの生活習慣病のある方がなりやすい病気になっています」(窪田先生)

 

では、尿路結石症は生活習慣病の一種なのでしょうか?

 

「いいえ、生活習慣病ではありません。ただ暴飲暴食をしたり、糖質を多く摂取したりということが生活習慣病の原因になるのですが、そういう生活習慣をしていると尿路結石症になりやすいということです」(窪田先生)

 

尿路結石症の症状は?

腹痛に悶える女性のイメージ

 

突然おなかに激痛を感じる

尿路結石症の結石はギザギザとした形状をしているため、結石が尿管を通る際、どのような症状が起こるのかというと……。

 

「基本的には尿によって結石が押し出されてきます。背中側に腎臓があり、そこから前側の膀胱に向かって尿路があるため、

 

腰や下腹部への突発的な痛み

痛みに付随した吐き気、倦怠感

 

がよく見られます。突発的な痛みは夜間〜早朝にかけて発生することが多く、その原因は睡眠中の水分不足にあります。また、結石が感染結石などで炎症や細菌感染を起こしている場合は発熱することもあります。

 

この他にも頻尿や残尿感などがよく見られる症状です。結石による尿管の損傷で血尿が出たり、結石が尿管に詰まって尿が排出されず、腎臓が腫れてしまうといったような腎臓へ影響を及ぼしたりする場合もあります」(窪田先生)

 

突発的な痛みよりも先に尿路結石症だと疑えるような症状はありますか?

 

「先行して発熱したり、血尿が出たりする場合もありますが……やはり激しい痛みを感じて受診される方が多いですね」(窪田先生)

 

 

手術の可能性も!? 治療法は?

薬と注射器のイメージ

 

結石の大きさによって治療法が違う

尿路結石症による激痛に、救急車を呼ぶ方も多いそう。では、尿路結石症はどのような治療をおこなうのでしょうか。

 

「治療法は結石のある場所や、大きさなどで変わってきます。言いだすとキリがないのですが……大体3つに分けられます。

 

まずは薬ですね。よく薬で結石を溶かせますか?と聞かれるのですが、それができると尿管も溶けちゃうんですよね。予防的な観点で言えば結石をできにくくする薬はありますが、それは前立腺肥大など別の病気を治すための薬だったりしますなので、結石の排出を促す薬を処方することが多いです

 

手術は、体外衝撃波による砕石と内視鏡によるレーザーでの砕石があります。

 

体外衝撃波による砕石は大きい石を細かくしてあとは排出を待つだけの手術です。麻酔も使わず、1時間くらいで処置が終わります。

 

内視鏡によるレーザーでの砕石は全身か下半身の麻酔が必要ですが、10〜15分で処置も終わり石を完全に取り切れるようになっています。現在は内視鏡での手術が主流になっていますね。

 

手術をするかどうかは結石の大きさで決まります。5mm以下なら排出できますが、10mm以上なら手術になります。5〜10mmの間なら薬を飲みつつ、様子を見ますね」(窪田先生)

 

どのくらいの期間で結石は排出されるのでしょうか?

 

「人それぞれですね。1日で出る方もいますし、何カ月も出ない方もいます。ただ、結石が出ないと尿管が詰まって腎臓が腫れてしまっている状態が続くので、腎臓が悪くなる可能性があります。3カ月くらい出なければ、手術したほうがいいと思います」(窪田先生)

 

尿路結石症の市販薬はないのでしょうか?

 

「市販薬はありません。結石が自然と流れて排出されることはありますが、体内で溶けて勝手に消えたりすることもありません。」(窪田先生)

 

まとめ

「もう二度となりたくない!」と言う患者さんがいるほどの激痛をもたらす尿路結石症。激痛の他にもさまざまな症状があります。最近ちょっと太ってきたかも、暴飲暴食をしてしまっている、と心当たりのある方は生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか?

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

 

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